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【タックル法律講話】弁護士会が「集団的自衛権は違憲!安保法案に反対!」の声明を連発! そもそも、弁護士会がそんな政治的主張をしていいのでしょうか?

2015/08/17

弁護士会が「集団的自衛権は違憲!安保法案に反対!」の声明を連発!
そもそも、弁護士会がそんな政治的主張をしていいのでしょうか?


「弁護士自治」の本来の目的は?

先日、日本弁護士連合会(日弁連)や各地の弁護士会が出している特定の政治的な会長声明や意見書について、京都の保守派弁護士が、「弁護士自治とは全く無縁な『目的外行為』であり、違法だ」として、弁護士会長らに対し、ホームページ上の会長声明や意見書の削除と慰謝料100万円を求める裁判を起こしました。
問題となったのは、「集団的自衛権を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明」「安保法案に反対する意見書」など合計15本。原告側は、「法律上、弁護士は弁護士会への強制加入が義務づけられている」「声明は正規の決議を経たものではなく、文章を作成して発信する権限は弁護士会にはない」と主張し、「日弁連は特定の意見を表明する政治団体になり下がっている。主張したいならば強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意でやるべきだ」と訴えました。
この保守系弁護士の訴えには、私も全面的に賛成です。日弁連、京都弁護士会に限らず、各地の弁護士会がこぞってこのような会長声明を連発しています。しかし、そもそも、会員である弁護士の中には、安保法案に賛成、集団的自衛権は合憲、という立場の弁護士も多数いるわけですから、そのような政治的意見が分かれることに関して、あたかも全ての弁護士が反対しているかのような声明を出すべきではありません。
もともと、「弁護士自治」は、弁護士が国家権力と対峙するという大義名分から、監督官庁を置かず、自律した運営に任されているものです。問題のある弁護士がいれば懲戒処分をするなど、自分たちで自浄作用を発揮するという建前になっています。このように、「自分たちでちゃんとやれますから、国家権力からコントロールはされませんよ。それがひいては国民のためになるんです」ということで「弁護士自治」が認められているのです。
ところが、今では、「自治」をいいことにやりたい放題!「会長声明」の名のもとに、一部の左翼系弁護士が自分たちの政治的主張をあたかも弁護士全体の主張であるかのように政治的に利用しているのが現状です。


弁護士自治が剥奪される?

さて、この裁判の行方はどうなるでしょう?
裁判では、会長声明が政治的意見なのか否かが争われることになりそうです。弁護士会側は「これは政治的意見ではなく、あくまでも法律家としての見解だ!」と主張するでしょう。また、弁護士会の会長声明は、今までも慣例として出されており、「弁護士自治の範囲内なので、違法ではない」と判断される可能性もあります。
しかし、こうした悪しき慣例が続くと、いずれ、国民から「弁護士会は政治的中立を損なっている!」という批判の声が大きくなり、国から「弁護士自治」を剥奪される恐れもあります。既に、弁護士の不祥事が多発し、悪しき司法改革によって能力の低い弁護士が急増していますから、弁護士会に自浄能力はあるのか?と疑われはじめています。結局、「日弁連、弁護士会の解体」となれば、「国民の人権を守る」という本来の弁護士の重要な使命が損なわれ、そのツケは国民に回ってきます。
くだらない「声明」を出して喜んでいる場合ではなく、本来の弁護士自治の意義をしっかりと考えて、実践して行かなくてはならないのです。それでは、次号で!