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【タックル法律講話】「人質司法」の反省から、「保釈」は増加! 一方で、犯人が逃走する事案が多発しています! 今、現場の実行力が問われています。

2019/12/03

「人質司法」の反省から、「保釈」は増加!
一方で、犯人が逃走する事案が多発しています!
今、現場の実行力が問われています。


「保釈率」は10年前の3倍!

日本では、必要のない逮捕・勾留が多いと言われてきました。いわゆる「人質司法」で、特に飲酒運転で逮捕され身柄が勾留されるケースがよくあります。しかし、これは明らかに見せしめで、ほとんどの場合は証拠隠滅や逃亡の恐れはなく、本当に逮捕までする必要があるのか、疑問です。
最近は、逮捕後でも、証拠隠滅の可能性がないと判断された場合、裁判所が保釈を認める傾向が広がっています。被告の権利保護や収容施設の負担軽減なども背景にあるとみられています。
統計によりますと、全国の裁判所で保釈が認められた被告人の数は、平成29年で1万1589人。10年前の約1.3倍に上り、保釈率は15.5%から30.5%に上昇しました。いわゆる「人質司法」を改めるために裁判所が吟味して保釈を認めること自体は、決して悪いことではありません。
しかし、一方で、最近、保釈された被告人が逃走を企てる事案が多発しています。
今年3月には詐欺罪に問われた保釈中の男が公判に姿を見せず、裁判所は保釈を取り消しました。男は海外に逃亡した可能性が高いとみられています。
また6月には神奈川県で、窃盗罪等の控訴審中に保釈され、その後実刑が確定した男が、収容のために自宅を訪れた検察事務官らに刃物を振り回し、車で逃走するという事件が発生しました。幸い4日後に確保されましたが、市民生活に大きな動揺と影響を及ぼし、横浜地方検察庁のトップが謝罪するという事態に追い込まれました。


逃亡することは十分予想できたはず!

この神奈川県の事案では、逃亡は十分に予想されることであり、捜査機関の怠慢の誹りを免れません。収容に向かったのは検察事務官ですが、逃亡が予想されるのであれば、警察も同行すべきだったのではないでしょうか。
素人からすると、「検察」というと何か強い力を持っていると思われがちですが、拘束するための何の実力も持っていません。「警察」とは違うのです。検察官や検察事務官は、逮捕術を学んでいるわけでもなく、拳銃も持っていません。刃物を振り回されては、何も出来ないのは当然です。収容対象者から実力行使されてしまうと、なす術がないのです。
「それなら警察に頼めばいいじゃないか」と思われるでしょうが、そこがタテ割り行政の難しいところです。検察に変なプライドがあるのでしょうか?
いずれにしても、犯人が逃走して迷惑するのは一般市民です。逮捕する実行力がない検察事務官がのこのこと収容に出かけて逃げられてしまうという事態は、あまりにも間抜け過ぎます。
検察の権威の前で犯人が大人しく収容されていたのは、昔の話です。今や、「隙あらば逃亡しよう」という者がいても不思議ではなく、まして外国人犯罪者が逃げようとするのは当たり前の時代です。
身柄の収容には警察が立ち会うなどの新しい方法を検討する必要があります。それでは、次号で!