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【タックル法律講話】慰安婦問題で、日本政府が「軍の関与」を認めて謝罪! 日韓合意は大きな禍根を残しました。

2016/02/17

慰安婦問題で、日本政府が「軍の関与」を認めて謝罪!
日韓合意は大きな禍根を残しました。


国際社会の受け止め方

昨年十二月、日本政府は、いわゆる「慰安婦問題」で韓国と合意しました。その内容は、①軍の関与の下、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題として日本政府は責任を痛感し、安倍内閣総理大臣は心からのお詫びの気持ちを表明する。②元慰安婦を支援するため、韓国政府が財団を設立し、日本政府が10億円程度の資金を一括拠出する。③慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認する。④両国政府は今後、国連など国際社会で本問題について互いに非難、批判することは控える。というものです。
しかし、②の「財団」の設立については、早くも韓国の民間団体が猛反発しています。「これでもう終わりにしましょう」と最終的かつ不可逆的に解決しようという目的だったのでしょうが、慰安婦像を日本大使館前やアメリカで設置し騒ぎ回っているのは民間団体ですから、韓国政府がこれを制御し、一本化した「財団」を設立できるかは甚だ疑問です。
そして何よりも、今回の合意は、日本が世界に向かって従軍(?)慰安婦を認めてしまったことが大きな問題です。「軍の関与」を認め、首相自ら「責任を痛感」して「お詫びの気持を表明」してしまったのですから、当時の日本が軍の関与のもとで慰安婦を働かせた事実を認めて謝罪したとしか読めません。実際、海外のニュースでは、そういう扱いをされています。日本人的に「いやいや、事実かどうかは置いておいて、とりあえず不快な思いをさせたことは謝ります」と言っても、国際社会はそうは受け止めません。
日本的なクレーム処理の対応として、とりあえず「不快な思いをさせた」ことに対して謝罪して相手の気持ちを静め、その後、事実関係を調べて慎重に対応する、ということはよくあることですが、残念ながら、これは日本人相手にしか通用しません。
今回の合意も日本的です。せっかく、朝日新聞が「従軍慰安婦報道は誤りでした」と認めて、国内でも「慰安婦は居たが、軍の関与はなかった」という事実にたどり着いたというのに、今回の合意で「軍の関与」を認めてしまいました。


失った国際司法での決着の場

日本政府は、慰安婦問題について国際司法裁判所で決着しようと働きかけていましたが、韓国は全く応じませんでした。それでも粘り強く国際社会に訴え、いつかは白黒はっきり決着すべきでした。ところが、今回の日韓合意で日本政府が「軍の関与」を認め、かつ、最終的かつ不可逆的な解決を宣言してしまいましたから、事実があったか否かについて、もはや、国際司法の場に持ち出すことが不可能になってしまいました。
安倍首相は「慰安婦問題で子々孫々に謝罪させてはならない」と語っていますが、今回の日韓合意は、子々孫々に大きな負の遺産を遺してしまったのではないでしょうか。背後に同盟国・アメリカの強い要請があったことは仕方ありませんが、日本国と日本人の名誉と尊厳を守るという観点からは、非常に疑問の残る合意であったと言わざるを得ません。それでは、次号で!