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【タックル法律講話】最近、問題化している「虚偽DV」!これを見逃した警察の対応が「違法」とされ賠償を命じた異例の判決!

2018/06/01

最近、問題化している「虚偽DV」!
これを見逃した警察の対応が「違法」とされ賠償を命じた異例の判決!


異例の判決!

 子供を連れて別居中の妻が捏造したウソの家庭内暴力(DV)の話を警察官がうのみにした結果、不当にDV加害者と認定され、子供と会えなくなったとして、愛知県の40代の夫が、妻と県に慰謝料など計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、名古屋地裁は夫側の主張を認め、妻と県に計55万円の賠償を命じました。
 最近、社会問題化している「虚偽DV」をめぐって、配偶者と行政の責任を認定した異例の判決です。
 判決によると、夫妻は平成18年に結婚し子供が生まれましたが、24年に妻が子供を連れて家出し、別居。夫の申し立てを受けた名古屋家裁は、妻に夫と子供を定期的に交流(面会や手紙のやり取り)させるよう命じました。しかし、28年、妻は愛知県警を訪れ、DV防止法に基づき夫に住所などを知られないようにする支援を申請。対応した警察官は「妻はDV被害者で、今後もDVを受ける危険がある。支援の要件を満たしている」との意見書を作成しました。この意見書に基づき自治体が支援を開始した結果、夫は妻の住所が記載された住民基本台帳の閲覧などができなくなり、子供との交流が絶たれました。夫は「妻のDV主張は虚偽なのに警察はろくに調査せずDVと認定した。名誉を毀損され、子供とも会えなくなった」として妻と県を提訴。妻側は「過去のDVや今後もDVの危険があることは事実だ」、県側も「県警の認定に問題はなかった」と反論していました。
 裁判所は「妻側の主張するDVは診断書などがなく、誇張された可能性がある。妻は子供と夫の交流を絶つ意図で支援を申請したと認められ、制度の目的外使用だ」と認定しました。県警の対応についても「虚偽DVが社会問題化している以上、制度の目的外使用の可能性も念頭に、妻の説明の不審点や疑問点を確認する義務があった」と指摘。「現在もDVの危険があるかどうかは客観的な事実関係から判断できる。しかし今回、県警は事実確認を一切行わなかった」と過失を認定しました。


最悪のケースを考えると・・・

 夫婦間のDVや暴力は立証がなかなか難しいものです。診断書もないし、暴行の録音もありませんから、妻の言い分しか証拠がないのが現実です。警察としても動きにくい案件です。
 しかし、有名な桶川ストーカー殺人事件で、ストーカーの相談をしたにもかかわらず、警察が動かなかったために女性が殺害されてしまったことをきっかけに、ストーカー規正法ができ、疑わしければ警察が動いて警告するなど未然に事件を防ぐようになりました。「はっきりとした証拠がないから」といってDVを認定せず放置した結果、殺されてしまうという最悪のケースになった場合、警察への非難が集中しますから、警察としても悩ましいところです。
 そのような流れもあって、今回の件でも、警察としてはDVが本当であれば放置すれば殺されてしまう訳ですから、妻の供述を重視してDV認定をしたのでしょう。仮に、妻の供述が虚偽だったとしても、人命が危険にさらされる訳ではありませんから、警察としては仕方がない処置だったかもしれません。
 そう考えると、この判決が、警察が「虚偽DV」を見抜けなかったことを「違法」と決めつけたのは、現場の警察官にとっては少し酷ではないでしょうか。そもそも、夫婦間のトラブルの有無を警察に判断させること自体、制度上、無理があるとも言えますね。
 何よりも一番悪いのは、虚偽申告をして警察までも騙した妻です。それなのに、警察の対応が「違法」とされ、夫への賠償金も税金でまかなわれるというのは何とも釈然としませんね。皆さんはどう思われますか?それでは次号で!