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【タックル法律講話】京弁護士会の弁護士らに一般市民から大量の懲戒請求!「懲戒制度」そのものの見直しが必要です

2018/07/03

東京弁護士会の弁護士らに一般市民から大量の懲戒請求!
「懲戒制度」そのものの見直しが必要です。


合計4千件もの懲戒請求!

東京弁護士会が平成二十八年四月、朝鮮学校への補助金支給を求める声明を出したところ、昨年六月以降、声明に賛同したことを理由に、同会所属の佐々木亮弁護士ら十人の弁護士に、市民190人から懲戒請求が出されました。
その後、匿名のブログが懲戒請求を呼びかけていたことが判明。ツイッターで佐々木弁護士を擁護する投稿をした北周士(かねひと)弁護士にも懲戒請求が相次ぎ、これまでに二人に対し計四千件もの請求が寄せられていました。

これに対して、佐々木弁護士と北弁護士は、対抗措置として、「インターネットで扇動され不当な懲戒請求を受けた」として懲戒請求者約九百六十人を相手取り、一人あたり六十万円の損害賠償を求める訴訟を起こすと表明し、同時に、「慰謝料十万円の支払いに応じるのであれば訴訟は起こさず和解に応じる」との呼びかけを行いました。

ところが、さらに、これに対して、市民団体の男性が「一般市民である懲戒請求者を相手取り民事訴訟を起こす方針を表明したのは懲戒請求者を萎縮させるもので、弁護士としての『品位を失うべき非行』に当たる」として、佐々木弁護士と北弁護士に対する懲戒請求を申し立てました。
日本弁護士連合会によると、朝鮮学校の補助金に関する会長声明をめぐっては、昨年一年間だけで全国の二十一弁護士会に約十三万件の懲戒請求が寄せられています。

懲戒制度の見直しを

本来、懲戒請求の典型例は、弁護士が依頼を受けた具体的事件の処理ミスなどであり、「事件放置」、「説明不足」、「不当な報酬請求」など依頼者に迷惑をかけた場合や、事件の相手方とのやり取りで問題となるものです。

また、昔は、今のようにテレビやインターネットを通じて、依頼者でも相手方でもない全く無関係な第三者から大量の懲戒請求がなされる事態は想定されていなかったでしょう。
しかし、弁護士会には「弁護士自治」があり国からの管理監督を受けないという建前がある以上、会としては、ある程度、広く、国民、一般市民からの懲戒請求には対応していかなくはならないとも言えます。

ただ、他方で、あまりにも濫用的・嫌がらせ目的の懲戒請求も排除しなくてはなりません。

問題は、弁護士法56条の「品位を失うべき非行」という懲戒理由であり、「品位」の内容が極めてあいまいなので、いかようにでも解釈・判断でき濫用される危険性がある、ということです。
「品位」という言葉に引っ掛ければ、全く関係のない第三者でも、懲戒請求ができてしまうのが現在の制度です。今回のような意見が異なる政治的メッセージについて、「品位」の問題として取り上げるべきかどうかは議論が分かれるところですね。より実効的な懲戒制度の見直しをすべきでしょう。皆さんはどう思われますか?それでは次号で!