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【タックル法律講話】行き詰まりが露呈した法科大学院(ロースクール)! 制度設計自体に無理があります。 今こそ「司法改革」の見直しが必要です。
2019/01/07
行き詰まりが露呈した法科大学院(ロースクール)!
制度設計自体に無理があります。
今こそ「司法改革」の見直しが必要です。
法務省と文部科学省の利害対立
現在、司法試験では、法科大学院(ロースクール)の修了者に受験資格が与えられますが、法務省は、大学院の最終学年であれば受験できるように改正を検討しています。
これに対して、法科大学院制度の充実を求める大学教授らのグループが、法務省などに対して再考を求める要請書を提出しました。要請書によると、「学生が受験勉強だけに集中してしまい、法科大学院のカリキュラムが形骸化し、全く無意味な存在になってしまう」、また、「経済的な事情で法科大学院に進学できない人を対象とした『予備試験』を通過して合格する人が増えてしまい、法科大学院離れが広がっており、予備試験の受験資格の制限も必要だ」などと主張しています。
実に、ふざけた要請書ですね。
そもそも、法科大学院制度ができる前は、大学受験と同じように自分で勉強して司法試験を受け、合格すると司法修習生として研修を受けるという流れでした。法科大学院など必要なかったのです。しかし、なぜか、「合格するまでのプロセスが大事だから、法科大学院を設置して、ここで3年間学んだ者だけに受験資格を与えるようにしよう!」ということになってしまいました。全国に法科大学院ができれば、余っている教員たちも教授になれます。これは文部科学省の省益ですね。
しかし、法科大学院は学費が高いため、経済的事情で入学できない人もいます。そういう人は、「予備試験」という別のルートで、法科大学院に行かずに司法試験にチャレンジします。こちらのルートの方が法科大学院ルートよりも圧倒的に難しく、合格率も低いのですが、その分、優秀な人たちが集まります。
司法試験自体は法務省の管轄であり、法科大学院は文部科学省の管轄ですから、省益が違います。法務省は国の司法を担う優秀な人材を確保したいので、「法科大学院制度では優秀な人材が集まらない。大学経営のために司法試験をやっているのではない。」と考えているのに対して、文部科学省は、何とか法科大学院を存続させて省益を確保したいと考えているのです。利害対立が生じています。
法科大学院は一刻も早く廃止を!
そもそも、法科大学院制度自体に無理があります。余っている大学の教員を救うために作られたようなもので、優秀な法曹を輩出するという本来の目的からはほど遠いものとなっています。教授たちも司法試験に合格した人ではありませんし、逆に、弁護士も講師をやっていますが、こちらは教えるプロではありません。また、学費は初年度だけでも100万円以上と高額で経済的余裕がある人しか入学できません。しかも、弁護士人口が激増して昔のように儲かる仕事ではなくなり、魅力を感じない人も増えました。これでは優秀な人材が集まるはずがありません。法科大学院の入学者は激減し、学校側もうま味がないため、閉校するところが増えてきました。
一刻も早く、法科大学院制度は廃止すべきです。
法科大学院や法曹人口の増加など一連の司法改革は、結局、裁判官、検事を増やすのではなく、いたずらに弁護士を増やすだけのものでした。その結果、理解力が低い弁護士が増えて、裁判官に手取り足取り教えてもらわないと裁判が進まない、また、経済的に困窮して不祥事を起こす弁護士が増えるなど、そのツケは国民に回ることになります。国や弁護士会は一連の司法改革が間違いだったことを率直に認めて、見直しをする必要がありますね。それでは次号で!今年もよろしくお願いいたします!