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【タックル法律講話】異例の検事長の定年延長! 「ありえない」ことがまかり通っていては 国民の信頼を失います

2020/04/01

異例の検事長の定年延長!
「ありえない」ことがまかり通っていては
国民の信頼を失います


破綻している論理

政府は、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めました。検察庁法では「検事総長は、年齢が65歳に達した時に、その他の検察官は年齢が63歳に達した時に退官する」と明記しています。「法の番人」である検察官の人事が、検察庁法に適わない形でなされたことには正直、驚きました。
その後の衆院内閣委員会で説明を求められた人事院任用局長が「検察官と大学教員には国公法の定年制は適用されない」と答弁していましたが、安倍首相が黒川氏の定年延長について「国公法の規定が(検察官にも)適用されると解釈することにした」と語りました。
ところが、その前日には、人事院の松尾恵美子給与局長が「従来の解釈を現在まで続けている」と答弁したばかりで、矛盾はさらに深まりました。松尾局長はあわてて答弁を修正し、「法解釈の変更は1月中に行っていた」「先の答弁は『現在』という言葉の使い方が不正確だった」と釈明しました。
その後、法務省は「法解釈変更の決済は、公文書ではなく、口頭で行った」と報告しましたが、そんな大事な決裁を口頭でできるはずがありません。
もうここまで来たら、黒川氏の定年延長の論理は破綻しています。
そこまでしてなぜ黒川氏を検事総長にしたいのか?
恐らく、官邸サイドから出た話ではないかと思います。もちろん、検察庁の意思ではありません。行政機関ではありますが、こと捜査に関しては「不偏不党」を貫く検察庁ですから、こうした疑念を持たれること事態が権威の失墜です。実際、全国検察庁会議でも、この人事に異議を唱える検事正が出ました。異例なことです。


「信なくば立たず」 襟を正すべき

それにしても、これまで「森友事件」での公文書改ざん、「桜を見る会」での公文書破棄など、国民をあまりにも馬鹿にした事態が堂々とまかり通っています。これでは、行政組織に対する国民の不信感は募るだけです。
全て官邸サイドが直接関っているとはとても思えませんので、恐らく、首相を「忖度」した周辺が動いたのではないでしょうか。そこには官僚自身の保身もあるかもしれません。官僚をコントロールするのが政治だと思うのですが、果たしてどうでしょうか?
これだけの疑義・不祥事を官僚が起こしているにもかかわらず、誰も責任を取ってないことに国民は不信感を強めています。是非、安倍総理にはリーダーシップを発揮していただき、官僚をしっかりとコントロールしていただきたいものです。
今回の検察庁人事は様々な思惑が絡んでいることはわかりますが、かなり「無理筋」ですね。「あってはならないこと」が目の前で起きているのですから、国民の不信感が募るのは当然です。政治は「信なくば立たず」。政官ともに襟を正すべきです。それでは次号で!