新着情報

【タックル法律講話】黒川氏の賭けマージャンで「訓告」処分 身内でも、犯罪を捜査しなければ検察への信頼が揺らぎます

2020/07/02

黒川氏の賭けマージャンで「訓告」処分
身内でも、犯罪を捜査しなければ検察への信頼が揺らぎます


1円賭けても犯罪行為

東京高検の黒川弘務検事長の賭けマージャン問題で、森雅子法相は黒川氏を訓告処分とし、黒川氏は辞表を提出しました。後任の検事長には林真琴名古屋高検検事長が就任しました。
黒川氏は63歳の誕生日前日である今年2月7日に定年を迎える予定でしたが、政府は閣議で黒川氏の定年を8月7日まで半年間延長すると決めました。検事長の定年延長は極めて異例であり、官邸主導で稲田伸夫検事総長の後任に充てようとしたのでないか?との疑念が持たれていました。
そんな中での今回の賭けマージャン問題。
賭けマージャンは「賭博罪」にあたり、れっきとした犯罪行為です。刑法186条は「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と規定しています。
1円でも賭ければ犯罪です。賭けゴルフ、高校野球のトトカルチョなども同様です。
ただし、「一時の娯楽に供する物」、すなわち、お菓子やジュースなど価値の小さいものやすぐに消費してしまうものを賭けた場合は、罰せられません。
 
順番が逆

報道では、黒川氏は新聞記者らと月に2、3回賭けマージャンを行い、最大で月に2万円程度の勝ち負けが発生し、賭けのレートはテンピン(1000点で100円)とされていますから、賭博罪が成立します。
その上、かなり前から月に2、3回賭けマージャンをしていたのであれば、常習賭博罪が成立します。常習賭博罪の刑罰は、さらに重く、3年以下の懲役です。
本来であれば、捜査機関である検察が犯罪事実を認知したのですから、適正に捜査すべきであり、捜査自体を行わないことはあってはならないことです。
それにもかかわらず、今回、捜査もしないうちに、「訓告」という処分を下したことは大きな問題です。適正な捜査を経て、その結果を見てから処分する、というのが常識であり、今回の早い幕引きは順番が逆です。
国民から見れば「身内を庇っている」としか映らず、検察への不信感を募らせることになります。正義を実現すべき検察が身内に甘ければ、国民の信頼を得ることは難しいでしょう。
おそらく、市民団体などからかなりの数の刑事告発が寄せられているでしょうから、今後は、検察も動かざるを得ないと思いますが、本来は、そうなる前に、検察自身が襟を正すべきでした。大騒ぎした検事長の定年延長問題も、何ともしまらない幕引きになりましたね。それでは、次号で!