新着情報

【タックル法律講話】性風俗事業者が「給付金の除外は違憲」と提訴!  長年、「本音と建前」の使い分けをやってきたツケが回ってきました。 裁判官も悩ましい?!

2020/11/02

性風俗事業者が「給付金の除外は違憲」と提訴!
長年、「本音と建前」の使い分けをやってきたツケが回ってきました。
裁判官も悩ましい?!


国民の理解が得られにくい?

先日、新型コロナウイルス対策で支給される持続化給付金や家賃支援給付金の対象から性風俗事業者を除外したのは「法の下の平等に反し、違憲だ」として、関西でデリバリーヘルスを営む事業者が国などに対し給付金の支給を求める訴訟を起こしました。
持続化給付金は最大で中小企業に200万円、個人事業主に100万円が支給されます。性風俗事業者を除外した理由について、梶山弘志経済産業相は、「社会通念上、公的支援による支援対象とすることに国民の理解が得られにくい」と説明しました。
「性風俗事業」とは、客に性的なサービスを提供する営業の総称です。ソープランド・デリバリーヘルス・ラブホテル・アダルトショップ・アダルト画像配信・テレホンクラブなどであり、風営法によって規制されます。
これに対し、「風俗営業」とは、客を接待して遊興・飲食をさせたり、設備を設けて射幸的な遊技をさせたりする営業の総称です。パチンコ・キャバレー・ゲームセンターなどであり、風適法により規制されます。
いずれも、許可または届出によって営業が可能となります。
このように「性風俗事業」は法律上正式に認められた事業ですから、果たして、「国民の理解が得られにくい」の一言で切り捨てていいのか?という疑問が生じます。パチンコ店には給付金が支給されるのに、ソープランド・デリヘルに支給されないのはおかしい!という問題提起ですね。


「本音と建前」が通用しない?

この問題の背景には、長い間、日本社会で「本音と建前」がまかり通ってきたツケが現れています。
つまり、本音は、性風俗事業では売春または売春まがいの行為が実際に行われているのに、店側は「単に場所を提供しただけ」という建前。
パチンコも、本音は賭博なのに、「三店方式」という建前で遊戯に区分されています。
かつては、売春、賭博などはアンダーグラウンドの世界でしたが、現代では、それが表に出てきています。「社会秩序」の観点から、こうしたグレーゾーンを認めるか否かは国の政策の問題と言えますが、日本では合法な存在として認めている以上、何とも言えない矛盾が生じています。
この裁判の裁判長も悩ましいのではないでしょうか? 「法の下の平等」という原則を貫けば、性風俗事業者に対する差別だ、とも言えるからです。
被告である国は、「国民の理解が得られにくい」という理由について、具体的かつ合理的な説明を求められることになりますが、なかなか苦しいですね。
現代社会は、これまで本音の隠れていた層が表に出てきている状態で、「本音と建前」の使い分けが難しくなっています。これから、もこうしたケースは増えてくるのではないでしょうか。それでは次号で!