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【タックル法律講話】被告人の保釈率が上昇!その一方で逃亡や再犯の恐れも? GPSでの行動監視など根本的な解決が必要です。

2021/04/01

被告人の保釈率が上昇!その一方で逃亡や再犯の恐れも?
GPSでの行動監視など根本的な解決が必要です。


「人質司法」の批判に配慮

最近、裁判所が、逮捕された被疑者の勾留請求を却下したり、裁判中の被告人の保釈を許可したりするケースが増えています。
従来、日本の裁判は長期の身柄拘束が続き、「人質司法」と批判されてきましたが、変化が生じているようです。
実際に、裁判所が被告人や被疑者の身柄拘束を解く判断基準は年々緩和されています。平成22年の保釈率は18%、勾留請求の却下率は1.1%でしたが、令和元年にはそれぞれ32%と5.2%に上昇しました。
この背景には、平成21年に始まった裁判員制度に伴い、公判前整理手続きが導入されたことが挙げられます。被告人と弁護人の打ち合わせ時間を十分に確保すべきだという考えが裁判官側に浸透したためです。また、前述の「人質司法」の批判にも配慮したものと見られます。
確かに、「人権」という観点からは、保釈は広く認められるべきです。
しかし、日産自動車元会長カルロス・ゴーンの海外逃亡のように、保釈された被告人や被疑者が逃亡や証拠隠滅を図ったり、再び罪を犯したりするケースが増えており、治安維持上、大きな問題となっています。また、裁判所によって保釈の判断が違い過ぎるため、「不公平だ」という声もあります。

保釈後の逃亡や再犯にどう対応すべきか?

近年、日本には、国策によって、多くの外国人が入り込んでくるようになりました。外国人による犯罪も増えています。日本に住んでいる日本人であれば、生活の基盤が国内にあり逃亡する可能性が低く、狭い島国の日本で逃げ回っても捕まえることはできるでしょう。
しかし、ゴーン被告のようにお金を持っている外国人であれば、逃亡を手助けする人間がいれば容易に逃亡できるケースも増えるでしょう。海外に逃げられてしまえば、打つ手がありません。
結局、保釈された被告人が逃亡しても、裁判所も、検察庁も、弁護士も、法的には誰にもお咎めはありません。弁護士は、保釈請求の際は、裁判所に対して、「呼び出しがあったら必ず出頭させます」などの誓約書を差し入れていますが、これも有名無実化しており、何の実効性もありません。
仮に、「逃亡の責任は保釈許可した裁判官が負う」という法律を作れば、裁判官は恐れてなかなか保釈を許可しないようになりますから、本末転倒です。
これは弁護士も然りで、法的責任を問われることになれば、被告人からの保釈請求の依頼そのものを引き受ける弁護士はいなくなるでしょう。これでは保釈率は上がりません。
この問題を解決するには、法曹三者の責任のなすり合いではなく、保釈後の被告人の逃亡や再犯をどうやって防ぐかという技術的・制度的な取組みが重要になります。
例えば、海外のように、GPSを装着させて行動を把握することは効果的です。しかし、GPSを装着させて行動を把握するためには、そのための膨大な人員や仕組みを整え、予算をつけなければなりません。早急に根本的な対策を議論すべきです。それでは次号で!