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【タックル法律講話】「村八分」に賠償命令、Uターン移住の男性が勝訴! 日本型コミュニティの崩壊が加速する?!

2021/07/02

「村八分」に賠償命令、Uターン移住の男性が勝訴!
日本型コミュニティの崩壊が加速する?!


「村八分」は人格権の侵害

Uターンした大分県宇佐市の集落で「村八分」にされて差別的な扱いを受けたとして、男性(72)が自治区長だった3人と市に計330万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大分地裁中津支部は、「社会通念上許されない『村八分』の不法行為があった」として、自治区長だった3人に計110万円の賠償を命じました。市への請求は棄却しました。
判決によると、男性は元公務員で母親の介護などのために、平成21年、出身地である宇佐市の集落(14戸)に関西から移住。農家に支給される交付金の扱いをめぐり自治会役員らと対立。これをきっかけに、自治会は住民票を移していないことを理由に男性を構成員と認めず、住民票を移した後も加入を拒み、市報や冠婚葬祭の連絡も届けませんでした。判決は、こうした行為が「平穏に暮らす人格権を侵害した」として精神的苦痛による慰謝料を認めました。
10年以上いがみ合っているのですから、双方の感情がこじれにこじれてしまったのでしょう。裁判では双方が激しく対立し、男性は「暴言を吐かれ、恐怖を感じた」「通行の妨害や帽子をずたずたに切り裂かれるなど嫌がらせを受けた」と主張し、自治区長らは「棒を振り回され、当たりそうだった」「最初の話し合いで“訴える”とか凄い剣幕で話にならなかった。嫌がらせはやっていない」と主張し、激しい非難合戦を繰り広げました。

日本型コミュニティの崩壊へ

「村八分」とは、村の秩序を乱した者への制裁として、「火事」と「葬式」の2つを除いた八分の交際を断つものです。現代では「共同絶交」とも呼ばれ、人権侵害の違法行為とされ、ひどい場合は脅迫罪などにも該当します。行き過ぎた「村八分」は許されることではありません。
しかし、一方で、住民自治という観点からは、移住してきた新住民が何でもかんでも好き放題にやって、地区の安寧な状態を乱すことは住民にとっては迷惑以外の何ものでもないでしょう。特に過疎化が進む地域では、住民同士の関係が最優先されるのは、当然です。それまでコミュニティがほとんどない都会で生活してきた人が、田舎の論理に素直に従えるでしょうか。今後もこうした問題は頻発するでしょう。
また、今回は日本人同士の争いでしたが、これから日本への外国人の移住が進むと、地方にもどんどん外国人が入ってきて、それまでの住民自治に順応できず、様々な問題を引き起こすことになるでしょう。
そうなると、地方に残っていた、いい意味での日本社会のコミュニティが崩壊していく恐れがあります。それが日本にとって良いことなのか?日本の伝統、風習、道徳が失われてしまうことになりはしないか?様々な問題をはらんでますね。この判決の今後の影響が気になるところです。それでは次号で!