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【タックル法律講話】前法務大臣・河井克行の大規模買収事件! なんと、買収された側は全員不起訴?! 検察の「違法捜査」という批判は避けられません。

2021/08/03

前法務大臣・河井克行の大規模買収事件!
なんと、買収された側は全員不起訴?!
検察の「違法捜査」という批判は避けられません。


異例の「不起訴」

公職選挙法違反に問われた前法務大臣・河井克行被告の大規模買収事件で、最後の焦点となっていた地方議員ら100人の刑事処分(被買収)について、東京地検特捜部は全員を「不起訴」としました。100万円を超える現金を受け取りながら不起訴になるのは極めて異例であり、検察内部や法曹関係者からも疑問の声が上がっています。
公選法は現金を受け取るなど買収された側にも3年以下の懲役や50万円以下の罰金を科すと規定。議員の場合は罰金刑以上が確定すると原則5年間の公民権が停止し失職しますが、不起訴によって失職は免れることになります。
検察が被買収側を一律に起訴せず刑事責任を問わないのは極めて異例のことです。過去の買収事件では受け取ったのがたとえ1万円であっても、全て起訴されています。
検察は不起訴の理由について「積極的に金銭を求めた者はおらず、自宅に保管していた者も相当数いた」などと説明していますが、全く理由になりません。積極的に賄賂を要求しなくても賄賂を受け取ってしまえば、立派な被買収です。
自宅に保管されていたという現金の行方も、きちんと戻したのか、保管したままなのか、何ら公表されていません。不起訴なので受け取った金銭は没収もされず、「違法に受け取った金銭でも返さなくていい」と検察がお墨付きを与えたも同然です。これほど国民を馬鹿にした話はありませんね。
こうしたとんでもない処分の背景には、検察が受領者から都合の良い証言を引き出すためだったのではないかという見方があります。しかし、公選法では司法取引は禁じられていますから、もしそうであれば、明らかな違法捜査です。河井被告の弁護人も、「違法捜査による立件だ」と無罪を主張していました。

次は「検察審査会」の判断へ

このように今回の検察の処分は、捜査の公平性、法適用の平等性に欠けています。河井被告からお金をもらった議員たちに何のお咎めもないのですから、明らかにおかしいのです。国会議員の首を取るために買収された地方議員たちを全員不起訴にするなど、明らかにやり過ぎですね。
しかし、もし、検察が起訴してしまうと、起訴された地方議員たちからは「起訴しないと言われたから証言したのに。約束が違う!」という声が出て、違法捜査が明らかになってしまいます。
今回、検察は「不起訴」にしましたが、次は、民間人で構成する「検察審査会」に舞台が移ります。検察審査会が「不起訴不当」と判断すれば、地方議員ら100人は改めて起訴される可能性も残っています。そうなると大混乱でしょうね。
「巨悪を眠らせない」という東京地検特捜部の役割は大きいと思いますが、やはり、正当な手続きを踏むべきです。こうした恣意的な捜査がまかり通ってしまうと国民の検察に対する信頼が大きく損なわれてしまいますね。それでは次号で!