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【タックル法律講話】泥沼化?大阪市VS市役所労働組合! 自分たちの生活闘争のために公共のスペースを使い続けることは 国民の理解を得られないのではないでしょうか?

2021/09/02

泥沼化?大阪市VS市役所労働組合!
自分たちの生活闘争のために公共のスペースを使い続けることは
国民の理解を得られないのではないでしょうか?


再び法廷闘争に

大阪市職員でつくる「大阪市役所労働組合」との団体交渉を拒否したことが「不当労働行為」にあたるとした大阪府労働委員会の決定(平成31年)を不服とてして、大阪市がその取消しを求めた訴訟で、大阪地裁は市の請求を棄却しました。「労組を軽視し、弱体化させる行為であり、支配介入に当たる」というのが判断理由です。
市は橋下徹市長時代の24年、「庁舎内の事務所の貸与を取り消す」と労組に通知。長年にわたって職員労組の各事務所が地下1階にあり、労組の使用許可申請を市がそのまま認める慣行になっていましたが、橋下市長がこれにストップをかけたのです。労組は団体交渉を要請しましたが、市は拒否してきました。
退去を迫られた労組は処分の取消しを求めて提訴しましたが、27年の大阪高裁判決は「庁舎の使用許可を出すかどうかはあくまで市長の裁量の範疇であり、労組に与えられた当然の権利ではない」とし、「24年度の不許可処分は唐突過ぎて違法だが、25年度以降の不許可処分は適法である」と判断しました。この判決を受けて、労組は庁舎からの退去を余儀なくされ、現在は民間ビルに入居しています。
そもそも、庁舎は公共の施設であり、市民共有の財産です。この市民共有の財産を、職員の労組に格安の賃料で貸与することが適切なのか?という問題です。労組は公共の目的ではなく、あくまでも職員の待遇改善のための交渉団体ですから、その団体に公共スペースを格安で貸すというのは、市民感情からは理解できませんよね。
また、身分が保証された市の職員が組合活動を行うこと自体にも疑問がありますし、自治労をはじめとした公務員の組合は政治的色合いが強く、国歌・国旗問題や憲法9条改正に強く反対し、反対運動にも参加しています。
今回の訴訟は、市が団体交渉を拒否したことについて争われていたのですが、この訴訟では、市は使用許可は「庁舎管理者が主体的に判断すべき事柄」であり、地方公務員法が「交渉の対象とすることができない」と定める「管理運営事項」に当たると主張していました。

問われる公務員労組のあり方

労働者が労働組合を作ったり、加入したりする権利である「団結権」、労働者が賃金など労働条件の改善を求めて使用者と交渉する権利である「団体交渉権」、要求を実現するためにストライキなどを行う権利である「団体行動権」の3つをまとめて、「労働三権」といいます。しかし、公務員がストライキなどを行うと、市民サービスがストップし、社会に及ぼす影響も甚大です。そのため、公務員には「団体行動権」を行使することが禁じられています。
「団体交渉権」自体は公務員にも認められていますが、「公務」という性質上、そこには自ずと限界がなくてなりません。公務員は国民・市民など公共に奉仕するのが義務であり、公共の財産である市庁舎の使用についてまで「団体交渉権」を認めるのは行き過ぎではなでしょうか?さらなる裁判の行方が注目されますね。それでは次号で!