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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】裁判官の「国民審査」関心を持つことが大切

2021/11/09

11月8日(月)、産経ニュースにコラム「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」
「裁判官の「国民審査」関心を持つことが大切」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。

裁判官の「国民審査」関心を持つことが大切

10月31日の衆議院総選挙と同時に行われた最高裁判所裁判官の「国民審査」。戦後に制度が始まって以来、罷免された裁判官はおらず、今回も11人全員が信任された。

皆さんは、投票用紙にどのように記入されただろうか?

国民審査は、総選挙の投票とは異なり、各裁判官の名前が印刷された投票用紙に、辞めさせたいと思えば「×」を記入し、何も記入しなければ「信任」とみなされる。「○」や「△」など、「×」以外を書いた場合は全て無効になる、という独特の投票方式である。「×」(不信任)が有効投票の過半数となった裁判官は罷免される。

日頃ほとんど意識したこともない裁判官にわざわざ「×」をつける有権者は少なく、「不信任率」はおおむね10%以下にとどまっている。制度が形骸化していることは否めない。

各裁判官の略歴や関与した裁判などを紹介した公報や情報開示はあるものの、法律用語が飛び交う判決を理解することは難しく、テレビの前で裁判官が意見や見解を述べるわけでもなく、ほとんどの人は「関心がない」というのが正直なところだろう。

しかし、最高裁は「憲法の番人」として「違憲立法審査権」を持ち、国民の代表機関である国会が作った法律を覆すことができる。国民審査は、強い権限を持つ最高裁裁判官を国民が直接チェックするという重要な制度である。

特に最近は、ネットの発達により、裁判官の経歴や人となり、関与した裁判などの情報が入手しやすくなっており、われわれ国民が積極的に関心を持つことが大切である。

一方で、SNSで特定の裁判官の罷免を呼び掛けるなど、新たな動きも見られる。

今回対象となった11人のうち不信任率が7%を超えたのは深山卓也氏、林道晴氏、岡村和美氏、長嶺安政氏の4人。この4人は、いずれも今年6月の最高裁決定で夫婦別姓を認めない民法の規定を「合憲」と判断していた。6月の合憲判断を受けて、選択的夫婦別姓の導入を主張する市民団体がツイッターなどで4人の罷免を求める運動を全国的に展開したことが大きく影響したとみられている。

また、沖縄県では不信任率が平均14・8%と、全国平均(6・8%)の2倍以上に達している。ここでも先の4人が不信任率の上位で、深山氏、林氏、長嶺氏らは辺野古新基地訴訟などで沖縄県に不利な判断をしている。

このように、今後は、特定の主義主張・政治運動を背景に、意に沿わない裁判官の「罷免キャンペーン」が組織的、大々的に展開されていくことが増えるであろう。

裁判官も人間であり、不信任率が高ければ、判断が揺らぐこともあり得る。

最高裁が扱う案件は、日本の形や社会・家族のあり方、日本人と外国人の関り方、国防などを問う重要なものばかりである。
日本の歴史や伝統を重んじ、国柄を守り、国防への理解がある裁判官を応援するためには、われわれは、個々の裁判官に関心を持ち、むやみに「×」を記入したり、無効票を投じたりすることのないよう努めていかなくてはならない。

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