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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】中国政府による人権侵害 地方の声を受け止めよ

2022/01/18

1月17日(月)、産経ニュースにコラム「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」
「中国政府による人権侵害 地方の声を受け止めよ」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。

中国政府による人権侵害 地方の声を受け止めよ

中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区において中国政府によるウイグル人への強制労働、強制不妊手術、性的暴行、子供の親からの引き離しなどの重大な人権侵害が問題となっている。ウイグルにとどまらず、チベットや内モンゴル自治区における民族弾圧や文化の破壊、香港における言論統制などの人権侵害行為に対しても、世界から非難と抗議の声が上がっている。

残念ながら、日本政府は「懸念を持って注視している」と述べただけで、諸外国に比べて毅然(きぜん)とした姿勢を打ち出していない。人権侵害行為を非難する国会決議も先送りにされたままである。

しかし、地方では、昨年末時点において80を超える議会で、地方自治法第99条に基づき日本政府に対して人権侵害の調査と対応を求める意見書が次々と採択されている。私の地元である福岡県でも、北九州、八女、小郡、柳川、行橋の各市議会、川崎町議会で採択がなされた。

この地方からの動きは、日本ウイグル協会や地方議員有志でつくる「ウイグルを応援する全国地方議員の会」の活動によるところが大きい。彼らは「今まさに地方からより一層の声を起こさなければならない」との思いから、全国1700超の全ての地方議会に意見書採択の要請文を送付し、地方から国会議員・日本政府を突き動かそうとしているのである。

地方自治法第99条は「普通地方公共団体の議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を国会又は関係行政庁に提出することができる」と規定しており、この意見書は、地方議会や議員が日々の政務活動や請願・陳情などにより住民の意見・要望を広く把握したうえで提案され、議会の議決により提出されるものである。

国は、対等な立場である地方自治体の声に真摯(しんし)に向き合い、地方の意見を施策に反映するために、地方議会から提出された意見書について誠実に対応しなくてはならない。何よりも、日本政府や国会議員は、中国政府の人権侵害に沈黙し続けていることに対して、国民の間で憤りと批判の声が高まっていることを認識すべきである。

中国政府による人権侵害行為を非難する国会決議は、昨年の臨時国会で茂木敏充幹事長が「内容はいいが、タイミングの問題だ」と難色を示し、見送られた。タイミングどころか、遅きに失している。

今も日々多くのウイグル人らが中国政府による人権侵害に苦しんでおり、一方では中国の国威発揚のための北京オリンピックが迫っている。今こそ日本が人権を尊重する国際社会の一員たり得るか、まさに正念場である。

日本政府、国会議員は猛省し、必ずや17日から始まる通常国会で非難決議を採択すべきである。


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