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【タックル法律講話】元法相河井克行・案里夫妻による巨額買収事件! 「不起訴」となった多くの県議らが、検察審査会により一転して起訴へ! 政党助成金のあり方も再考しなくてはなりません。

2022/04/06

元法相河井克行・案里夫妻による巨額買収事件!
「不起訴」となった多くの県議らが、検察審査会により一転して起訴へ!
政党助成金のあり方も再考しなくてはなりません。


検察としては「肉を切らせて骨を断つ」?

令和元年7月の参院選広島選挙区における買収事件では、元法相の河井克行・案里夫妻から現金を受領した多くの県議らが、公職選挙法違反罪(被買収)の疑いがありながらも、検察は「不起訴」としていましたね。
しかし、今般、市民の声を反映した検察審査会が、県議ら100人のうち、35人を「起訴相当」、46人を「不起訴不当」、19人を「不起訴相当」との議決をしました。
これを受けて、検察は、当初の「不起訴」の結論を一転させ、罪を認めた県議らについては大半を略式起訴(罰金刑)とし、罪を認めず争う者については罰金では済まさずに正式裁判として起訴しました。
検察から略式起訴する方針を伝えられた県議らは相次いで辞職を表明しましたが、一方で、正式裁判で検察と争う姿勢を示し、辞職を拒んでいる県議らもいます。
昨年8月号のこのコーナーで私は「100万円を超える現金を受け取りながらも不起訴になるのは異例で、検察内部や法曹関係者からも疑問視する声が上がっている。市民の声を受けた検察審査会が『起訴相当』と判断すれば、形勢が逆転する可能性も残っている」と予想しましたが、その通りになりましたね。
そもそも県議らは検察から「起訴しないから証言するように」と言われたようですが、これは明らかに違法な司法取引です。「お金をもらったのに起訴されないのはおかしい」という国民の感情を反映して、本来の検察審査会の機能が果たされた形になりました。
もともと、検察は、河井夫妻を何が何でも有罪に持ち込むために、起訴するもしないも検察の専権であるという「起訴便宜主義」を巧みに活用して、お金を受け取った100人もの県議らを不起訴にしていたわけです。もし、検察が「お金をもらった者も起訴する」というスタンスであれば、この100人からは証言は得られず、河井夫妻を起訴することもできなかったでしょう。
つまり、検察は、後で検察審査会から「起訴相当」というダメ出しを食らう危険性は百も承知の上で、ターゲットである河井夫妻の首を取るために、「肉を切らせて骨を断つ」戦法に出たのだと思います。

「政党助成金」は公金

本当は、検察としては、河井夫妻よりも上のルート、つまり河井夫妻に1億5,000万円の選挙資金を渡した人物の責任も追及したかったのだと思います。そもそも一人しか当選できなかった広島選挙区に、わざわざ二人目の候補者(河井案里氏)を擁立して1億5,000万円を渡し、党執行部が嫌っている前職議員には1,500万円しか渡さなかったこと自体が問題です。
党執行部の選挙資金は公金であり、税金である政党助成金なのですから、そもそも恣意的に使うことが許されるものではありません。しかし、法整備がなされておらず、私情による選挙資金の分配がなされており、税金の無駄使い以外の何物でもありません。検察としては、河井夫妻の逮捕立件をテコにして、このような不透明な政党助成金の使い方にメスを入れるという目論見があったのかもしれませんね。
いずれにしても、税金である政党助成金を党執行部が恣意的に使えるシステムは歪んでいます。今回の事件をきっかけにそのあり方にメスを入れるべきではないでしょうか。それでは次号で!