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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】ハウステンボス売却 国土を守る法整備急げ

2022/09/13

9月13日(火)、産経ニュースにコラム「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」
「ハウステンボス売却 国土を守る法整備急げ」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。

ハウステンボス売却 国土を守る法整備急げ

8月30日、新型コロナウイルス禍による旅行客の激減で経営が悪化していた旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が、傘下の大型リゾート施設「ハウステンボス」(HTB、長崎県佐世保市)の全株式を香港の投資会社パシフィック・アライアンス・グループ(PAG)に売却すると発表した。HTBの株式を持つ九州電力やJR九州など地元企業5社も全株式を売却する。HTBはPAGの子会社となって営業を継続するとのことだが、今後、HTBの施設や土地がどのように利用されていくのか、先行きは不透明である。

ご存じの通り、佐世保には米海軍基地や海上自衛隊があり、HTBからはわずか15キロ程度。すぐ近くには米海軍の住宅地区もあり、安全保障上の懸念も高まる。

既に外国資本による日本の土地取得は、着々と進行中である。北海道では中国資本によって別荘やリゾート地のみならず、森林・水源地、さらには自衛隊基地や飛行場周辺の広大な土地が爆買いされている。国境離島の長崎県・対馬でも韓国資本による土地買い占めが止まらない。

海外では、外国人の土地所有は禁止または厳しく制限されている。しかし、日本では外国人が土地を所有することについて何の制限もない。あまりにも無防備である。

昨年6月、ようやく「安全保障上重要な施設の周辺などの土地利用を規制する法律」(土地利用規制法)が成立し、自衛隊基地などの重要施設周辺約1キロなどを「注視区域」とし、土地所有者の国籍や氏名、利用状況などを調査できるようになった。特に重要性が高い「特別注視区域」では、不動産売買の際に事前に国籍や氏名を届け出ることを義務づけた。重要施設などの機能を阻害するような利用行為があれば、勧告・命令がなされ、罰則も科される。

しかし、この法律は外国人の土地取得を禁止したものではなく、あくまでも、その利用行為に限って制限を加えたものに過ぎない。立法の過程で骨抜きにされてしまい、安全保障の観点からは極めて不十分な内容なのである。

佐世保市も、今回の件は土地利用規制法の制定目的とは異なるとして、「観光施設であるハウステンボスの所有者が国内、国外のいずれであっても実質的に法律の影響はない」という見解を出すに至っている。

日本の法整備の遅れを尻目に、着々と進む外資による土地取得。国外から持ち込まれた新型コロナウイルスによる経営難で資産を手放さざるを得ず、これを外資に買われていく、というのも何とも皮肉な話である。

日本は不動産取引については国際的に開かれ過ぎた自由市場であり、常に外国人による買い占めの危険にさらされている。国土を守ることに無関心な国はいずれ滅びゆくだろう。国民の声を政府、国会に届け、実情に合わせた実効性ある法整備を急がなくてはならない。


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