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【タックル法律講話】機内でマスク着用拒否の男性に有罪判決!
「一律にマスク着用」がどこまで正しいのか?議論が分かれるところです。
2023/01/05
機内でマスク着用拒否の男性に有罪判決!
「一律にマスク着用」がどこまで正しいのか?議論が分かれるところです。
「中世の魔女狩り裁判だ!」と叫ぶ
先日、大阪地方裁判所は、ピーチ・アビエーション機内でマスク着用を拒否し、客室乗務員に怪我を負わせて安全な運航を妨害したとして、傷害や威力業務妨害罪などで起訴されていた元大学非常勤講師の奥野淳也被告(36歳)に対し、懲役2年・執行猶予4年の判決を言い渡しました。
奥野被告は無罪を主張していましたが、閉廷直後、法廷で「中世の魔女狩り裁判だ!」とノーマスクで叫び、不満をあらわにしていたそうです。
判決によると、奥野被告は令和2年9月、釧路発関西国際空港行きの機内でマスク着用を求められたがこれを拒否。大声を出して客室乗務員に暴行し、新潟空港に緊急着陸させました。また、千葉県館山市の飲食店でもマスク着用を拒み、店の業務を妨害するなどしました。
奥野被告はピーチの機内でマスク着用を拒否していたところ、近くの乗客から「気持ち悪い」「一緒に乗れない」と言われて、激怒。トラブルを受けて、客室乗務員からマスクの着用か席の移動を求められましたが、従わなかったということです。その後、客室乗務員が機長名で安全阻害行為の命令書を渡そうとした際には、「やれるならやってみろ!」と煽りたて、腕をはらいのけるなどしたとされています。航空機は当初、釧路発関西空港行きでしたが、トラブルのため新潟空港に臨時着陸しました。
大阪地裁は、奥野被告が機内で大声を上げるなどした行為が「航空法上の安全阻害行為」に当たるとして威力業務妨害罪の成立を認めました。その一方で、「暴行の程度は大きくない」として、乗務員に対する傷害罪の成立は否定し、暴行罪にとどまるとしています。
「一律にマスク着用」の問題提起に
確かに機内で大声を上げる行為は問題ある行為です。ただ、そもそも事の発端は、奥野被告がマスクを着用していなかったことであり、マスク着用の強制に抵抗したことが果たして安全阻害行為とまで言えるのか、判断が分かれるところです。
コロナ陰性であればマスクを着けていなくても感染の危険性はありませんし、着けていない本人が感染してもそれは自己責任です。酔って暴れるなどすれば危険行為ですから安全阻害行為であり、従わなければ降ろされても仕方ないと思いますが、「マスク未着用」という理由で、結果的に飛行機から降ろすという機長の判断が妥当だったのかどうかは議論が分かれますね。
そもそもマスク着用がコロナ感染予防に効果があるのか、科学的根拠はありません。実際、感染は依然として拡大しています。サッカーワールドカップでは日本のサポーターもマスクを外していましたね。帰国すればまたマスクをするという、いわばダブルスタンダードです。
コロナ禍が始まって丸3年が経とうとしています。強制なのか、任意なのか、マスク着用に関して、議論する必要があるのではないでしょうか。今回の事件は「一律にマスク着用」との風潮に一石を投じた問題提起になりました。皆さんはどう思われますか?今年もよろしくお願いします。それでは次号で!