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【タックル法律講話】安倍元首相を銃撃した犯人がようやく起訴!
安倍さんの死を無駄にしないためにも真相究明が待たれます

2023/02/02

安倍元首相を銃撃した犯人がようやく起訴!
安倍さんの死を無駄にしないためにも真相究明が待たれます


死刑判決は難しい

1月13日、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也被告(42)が殺人罪等で起訴されましたね。今後は公判前整理手続で争点が絞られていきますが、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への恨みに端を発した動機が量刑にどう影響するのか、死刑判決の適否を含めて注目されます。
通常は2、3か月で終わる鑑定留置が5か月半という異例の長期に渡ったり、山上被告をヒーロー扱いして多額の金品が差し入れされるなどしており、注目の裁判となるでしょう。
ネット上などで「犯人は複数いた」という説も流布しています。確かに山上被告が放った銃弾の入射角の謎や、奈良県警が非常線を張らず最初から山上被告の単独犯だと決めつけたこと、被告が元自衛官であることや旧統一教会の話がすぐにマスコミに出たことなど不自然な点があることは事実です。ただ、真相は藪の中です。
一部からは「死刑にすべき」との声もありますが、さて、どうなるでしょうか?
平成19年に現職の長崎市長が選挙期間中に銃殺された事件では、暴力団幹部の男が殺人や公選法違反罪などに問われました。一審長崎地裁は「民主主義の根幹を揺るがす犯行」として死刑を言い渡しましたが、二審福岡高裁がこれを破棄して無期懲役に変更し、そのまま判決が確定しました。
福岡高裁は選挙妨害自体は認定したものの、動機は「政治的信条ではなく、市長に対する個人的な恨み」と判断し、「何らかの利益を得るための犯行でもなく、極刑の選択は躊躇せざるを得ない」としました。

あくまでも「個人的な恨み」?
 
山上被告は、銃撃の事実自体については裁判では争わないでしょう。問題は、「動機」です。自分の主義主張を実現する目的、つまりテロリズムかどうか、計画性はどうか、などが争点となります。国政選挙の遊説中の政治家を襲撃することは民主主義の否定につながるという意味では結果は極めて重大ですが、果たして死刑を選択せざるを得ないほどの動機があるのか?裁判所も悩ましいと思います。
山上被告は、あくまでも「旧統一教会への恨み」が動機だと言い続けるでしょうから、政治的目的のためのテロ行為と認定するのは難しいでしょう。
仮に死刑判決が出れば、山上被告をヒーロー化する声がますます大きくなる可能性もありますね。
警備体制の見直しも含めて、安倍元首相の死を無駄にしないためにも、真相究明がなされることを祈ります。それでは次号で!