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【タックル法律講話】3900万円の高額報酬を受け取った弁護士が
「業務停止4か月」の懲戒処分に!
食えない弁護士が高額報酬を吹っ掛ける事案が増えています

2023/06/01

3900万円の高額報酬を受け取った弁護士が
「業務停止4か月」の懲戒処分に!
食えない弁護士が高額報酬を吹っ掛ける事案が増えています


「業務停止4か月」は軽過ぎる?

仙台弁護士会は、高額な弁護士報酬を不当に受け取ったとして、宮城県気仙沼市の弁護士(65)を業務停止4か月の懲戒処分にしたと発表しました。この弁護士は過去にも3回、不当な報酬を受領したとして懲戒処分を受けています。
弁護士会によると、この弁護士は、平成30年~令和3年ごろ、相続人が不在で死亡した人の遺産相続を巡り、特別縁故者として認定を求める依頼者の裁判を担当し、その報酬として約3900万円の高額な報酬を受け取りました。依頼者から弁護士会へ「高額だ」との懲戒処分の請求があり、発覚したものです。
弁護士が依頼を受ける場合、報酬などを定めた「委任契約書」を作成する義務があります。仮に本件において、委任契約書を作成し、それに基づいた弁護士報酬を請求したということであれば、本来は問題ないはずです。
しかし、委任契約書を作成しても、報酬額については「終了後に協議する」などと曖昧な形にしておいて明確に決めないケースもありますので、不当に高額な請求を吹っ掛ける弁護士がいることも事実です。
以前に弁護士会が使用していた報酬基準(現在は撤廃)によれば、3900万円の報酬を得るためには、経済的利益が18億円ということになりますので、この依頼者が18億円の利益(遺産相続)を得ていたのであれば、不当に高額とは言えません。
しかし、仙台弁護士会が「不当に高額」と判断したのですから、おそらく、経済的利益がもっと少額だったのに3900万円もの報酬を支払わされたということでしょう。   
この仙台弁護士会の認定が正しいとすれば、この弁護士は、過去に3回も懲戒処分を受けており、今回は4回目ですから、「業務停止4か月」という処分は軽いような気がします。


昔の感覚は通用しない

司法改革によって弁護士の数が激増し、稼げない・食えない弁護士が増えています。この弁護士は65歳ですから、通常であればベテランであり、司法改革以前には相応の収入があったものと推察されます。
以前は、弁護士の倫理規定もルーズで、委任契約書を作ることは義務ではなく、報酬額も曖昧でした。ネットもなかった時代では、依頼者は、弁護士を比較することもできず、報酬も弁護士に言われるままに支払っていたことが多かったと思います。
今は、そういう感覚は通用しません。時代に適応できない昔の弁護士が、依頼者を食い物にしているケースも増えてきました。
むしろ、最近合格した若い弁護士は、既に弁護士業界自体が厳しい環境からのスタートですので、もともと弁護士がそれほど儲かるものではないという認識があり、真面目に、きちんとやっている方が多いと思います。
依頼する方も、弁護士をきちんと見極めることが大切ですね。それでは次号で!