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【タックル法律講話】ダウンタウン松本人志氏への文春砲!
文春の「書き得」?低すぎる損害賠償額の相場。
SNS時代では名誉棄損は深刻なダメージになります。
2024/02/01
ダウンタウン松本人志氏への文春砲!
文春の「書き得」?低すぎる損害賠償額の相場。
SNS時代では名誉棄損は深刻なダメージになります。
芸能人は「準公人」?
お笑い芸人・ダウンタウン松本人志氏に関する週刊文春の記事が話題になっていますね。記事が掲載された号は45万部が完売、電子版の有料会員も2万3000人を突破したとのことです。
元宮崎県知事でタレントの東国原英夫氏は、SNSで、「誌の売上げだけで単純計算2億円以上」「仮に名誉毀損裁判で敗訴しても、損害賠償額の相場は最高200~300万円。書き得」と指摘し、「損害賠償額を高額にすべき」との考えを示しています。
名誉棄損裁判の争点は、「真実性もしくは真実と信じるに足りる相当性の有無」、「公益性」などです。この点、芸能人は公人ではありませんが、公共の電波であるテレビに出演していますから、「準公人」だと見なす考えもあります。また、ジャニーズ問題に象徴されるように、これまで泣き寝入りしていた人たちが声を上げる必要性を「公益性」と判断する傾向もあるでしょう。芸能人を巡っての名誉棄損裁判では公益性を認めた地裁の裁判例もあり、一種の「有名税」的な要素もありますね。
ただ、国民の代表である政治家の場合は民主主義の過程としてその政治家がどういう人物なのか有権者が知ることは大事ですが、芸能人はいくらテレビに出ているからといって何でもかんでも「準公人」として扱う必要があるのかは疑問です。
「抑止力」か?「表現の自由」か?
確かに、名誉棄損の損害賠償額の相場が安過ぎるという問題はあります。SNSがない頃に比べると被害は甚大です。SNSがない時代は誰もが文春を読むわけでもありません。以前、ある大物政治家が週刊誌に名誉棄損的な記事を書かれたので、その政治家の地元で売られている週刊誌を全て買い占めて、地元の有権者は誰もその記事を読んでいないという出来事がありました。
しかし、今はSNSで一気に拡散して世界中に広がり、しかもデジタルタトゥーとして残ります。書かれた人間の名誉はずっと棄損され続けるのですから、賠償額はもっと高くしてもいいと思います。
いわゆる「文春砲」はたびたび政治家の不祥事や芸能人の不倫などのスキャンダルをスクープしていますが、賠償額の相場が引き上げられれば、確証があるのか、十分な裏付けが取れているのかが疑わしい記事、いわゆる「飛ばし記事」を抑制する効果はあると思います。書く側も相応の覚悟が求められるようになります。
しかし、一方で、「表現の自由を侵害する」との反対意見もあるでしょう。
今回のケースは8年も前のことではありますが、「芸能界の正常化」という社会問題を提起する、というのが文春側の大義名分だと思います。
いずれにせよ、テレビで芸能人を見ない日はなく、コメンテーターなど社会のご意見番として露出過多になっている現状を見るにつけ、時代の流れを感じますね。昔は「芸能」という世界に一般人が足を踏み入れるには垣根が高かったのですが、今や、SNSで芸能人と簡単に直接つながれる、という時代です。芸能人の暴露記事も、こういう時代の副産物なのかも知れませんね。それでは次号で!