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【タックル法律講話】外国人だから何度も職務質問を受ける?!
日本初の「レイシャル・プロファイリング」訴訟が始まりました。

2024/03/05

外国人だから何度も職務質問を受ける?!
日本初の「レイシャル・プロファイリング」訴訟が始まりました。


耳慣れない「レイシャル・プロファイリング」

去る1月29日、人種や民族などによる外見の特徴を理由に警察が職務質問をする「レイシャル・プロファイリング」は法の下の平等を定めた憲法14条に反するとして、外国出身の20~50代の3人が国と東京都、愛知県に損害賠償を求める訴訟を提起しました。
「レイシャル・プロファイリング」とは耳慣れない言葉ですが、警察官や保安官といった法の執行者が特定の人種や肌の色、民族、宗教、国籍、言語といった属性に基づいて個人を捜査の対象とすることです。特に移民国家アメリカで多発しているようです。原告側の代理人によると、「レイシャル・プロファイリング」の違法性を問う訴訟は日本で初めてということです。
原告3人は来日後に、それぞれ日本国籍や永住権を取得。日常生活の中で繰り返し不当な職務質問を受けたと訴えています。このうち南太平洋諸島出身の50代原告は、日本へ移住した平成14年以降、職務質問を1日2回受けたことが4度あり、これまで計100回ほどに上るといいます。
原告側は「外見の要素を考慮した職務質問の運用は不合理で、差別意識を助長し違憲、違法だ!」と主張。人種差別撤廃条約などの国際条約にも反するとしています。
 
治安維持か?人権か?

職務質問は治安維持のためにも必要な警察官の職務です。職務質問はあくまでも任意であり、強引に取り調べする行為ではありません。警察としては、外国人労働者やインバウンドで外国人が増え続ける中、治安の悪化を防ぐため、最低でも在日外国人に携帯を義務付けられている在留カードの確認をする必要があります。
実際に、外国人による犯罪が増え、海外の犯罪組織と通じている外国人もいることから、治安維持、犯罪の未然防止のために、警察が職務質問を活用する場面も増えています。やはり、公益性の観点からは一定の職務質問は必要です。アメリカのように街中で警官が黒人に暴力を振るうのは明らかに不当な差別ですが、日本の場合はかなり事情が違うと思います。
しかし、一方で、職務質問を受ける側からすると、何度も職務質問を受けると不快に感じることもあるでしょう。「なぜ、私だけ、何度も職務質問するのか?」と問われれば、警察官はハッキリとは答えられないかもしれません。度を越した職務質問が許されないことは当然ですので、一定のルール作りは必要です。
いずれにせよ、この訴訟で原告側が勝訴となれば、職務質問のあり方も大きく変わっていく可能性があります。訴訟の行方が注目されますね。それでは次号で!