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【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】強化すすむ警察の「匿流」対策
実効性のある法整備急げ

2024/04/02

4月2日(火)、産経新聞にコラム「強化すすむ警察の「匿流」対策 実効性のある法整備急げ」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。

警察庁は「匿名・流動型犯罪グループ」(匿流(とくりゅう))の取り締まり強化のため、一昨年9月から今年4月にかけて全国で700人超の警察官を増員して対応にあたっている。福岡県警も4月から新たに「組織犯罪捜査課」を暴力団対策部内に設置し、各部署から集めた捜査員100人規模の体制を発足させた。各都道府県警でも同様の動きが見られる。

フィリピンを拠点にした特殊詐欺グループによる一連の「ルフィ事件」のように、暴力団に所属せずに常習的に特殊詐欺、窃盗、強盗などを行う流動型組織による犯罪が後を絶たない。警察白書は「SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの集団もみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺や強盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこうした集団を『匿名・流動型犯罪グループ』と位置付け、実態解明を進めている」と指摘している。

今回の都道府県警の新たな体制づくりは、今まで犯罪の種別ごとに別々の部署が対処してきた縦割りの捜査態勢を見直し、効率化を図るものである。

しかし、「匿流」を法律的に定義して規制の網をかけることが難しい。平成4年に施行された暴対法は「指定暴力団」を「犯罪経歴を保有する暴力団員が一定割合を占め、首領の統制の下に階層的に構成された団体」と定義しているが、メンバーが流動的な「匿流」は定義すること自体が容易ではない。いかに定義付けして新しい規制法の網をかけるのかが鍵となる。

現状の「匿流」対策は、まず何よりも「情報収集、実態把握」である。今回の横断的な体制の見直しもその一環だ。そのうえで、実効性のある法整備が必要である。警察も「匿流」の情報を得ることが難しく、なかなか首謀者の検挙に結び付かない。不透明な存在である「匿流」の情報を得るためには諸外国のマフィア対策を参考にして新たな捜査手法を導入すべきである。組織のことを話せば刑を軽くする「司法取引」や「刑事免責」、身分を隠して組織に潜入する「おとり捜査」、通信機器での会話やメッセージをキャッチする「通信傍受要件の緩和」などである。

また、「匿流」の資金源を断つことも重要である。海外の一部ではマフィアの金はマフィア側が「違法な収益ではないこと」を立証しない限り、課税や没収が可能とされている。日本でもこのような課税・没収制度を作ることによって資金源を断つことができる。

いまや治安上の大きな脅威となっている「匿流」壊滅のためには、警察の体制強化だけではなく、国会による法整備など抜本的な対策が急務である。



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