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【タックル法律講話】横浜市教育委員会が一般市民の裁判の傍聴を妨害!
馴れ合いの人選をやめて、教育委員会の本来の機能を取り戻すべきです

2024/07/01

横浜市教育委員会が一般市民の裁判の傍聴を妨害!
馴れ合いの人選をやめて、教育委員会の本来の機能を取り戻すべきです


職員を動員して裁判の傍聴を妨害?!

先日、教員による児童や生徒へのわいせつ事件の裁判で、横浜市教育委員会が一般の人が傍聴できないように大勢の職員を動員して傍聴席を埋めていたことが明らかになりましたね。
市教委は「被害児童らの保護者側からの要望で、被害者のプライバシー保護のためだった」と主張する一方、「行き過ぎた行為だった」と謝罪し、今後は実施しないと表明しました。
市教委は、教員が児童や生徒へのわいせつ行為で逮捕・起訴された4つの事件に関し、2019年から今年にかけて横浜地方裁判所で行われた計11回の公判について、多数の職員を動員して傍聴席を埋め尽くし、一般市民が傍聴できないようにしていました。最大で50人の職員を傍聴させ、集団で傍聴していることがわからないように、裁判所内で声をかけ合わないことや、裁判所の前で待ち合わせないことなどを指示していたのです。この傍聴は「業務」として職員に出張旅費が支払われていたことも判明しました。この出張旅費については「不正な公金の支出」に当たるとして市民が返還を求めたため、住民監査が実施されるという異例の事態に発展しています。
これは、憲法が保障する「裁判の公開」「傍聴の自由」を侵害する重大な非違行為であり、非常に由々しき問題です。これを、教育行政を管理・監督する立場にある教育委員会が指示したというのですから、呆れるしかありません。それこそ、子供たちに示しがつきませんよね。

教育委員会のメンバーの責任は重大

 教育行政を監理・監督する教育委員会。教育長及び委員は民間から選ばれ、首長が推薦した人物を議会が承認する形式です。しかし、実態は、特に専門性がない人物や地元企業の社長などが就任する場合もあり、単なる名誉職的な要素もあります。
本来、教育委員会が民間から選ばれる趣旨は、行政のおかしいところを指摘して正すために民間でコントロールするというもののはずです。首長が推薦した人物を議会が承認して民意を反映するという建て付けですから、教育委員会はしっかりと教育行政を監理・監督する義務があります。名誉職でなあなあの人選では自浄作用が働くはずもなく、本来の機能を果たせません。
教育委員には税金から給与が払われています。やはり、大所高所から教育行政に対してきちんとモノを言えるメンバーで構成すべきです。
今回のような動員問題は、本来は、教育委員会が「裁判の公開・傍聴の自由を妨害するのは良くない」と言ってストップをかけるべき立場であるにもかかわらず、逆に動員を指示していたというのですから言語道断です。
今後、横浜市教育委員会の6名のメンバーについては厳しく責任を追及し、委員の罷免なども検討すべきだと思います。
恐らく、全国のどの教育委員会も似たようなものでしょう。今後は、こうした不透明な人選ではなく、的確な人選とチェック機能を強化すべきです。教育委員会の本来の機能を取り戻すきっかけにしなくてはなりません。それでは次号で!