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【タックル法律講話】DV被害者は女性だけではない
増加する男性のDV被害!
その深刻な実態と社会の変化とは?

2025/12/02

DV被害者は女性だけではない
増加する男性のDV被害!
その深刻な実態と社会の変化とは?



巧みに利用される「ジェンダー意識」

「DV(ドメスティックバイオレンス)」と聞くと、多くの人が「加害者は男性、被害者は女性」というイメージを持っているのではないでしょうか。しかし、今、「加害者は女性、被害者は男性」のDV被害が増えています。
警察庁の統計によれば、男性が被害者となったDV相談件数はここ5年で1.5倍に増加し、全体の約3割を占めるに至っています。年収500万円のウェブデザイナーの男性がわずかな借金をきっかけに妻から監視され、食事を抜かれて栄養失調で倒れたり、トイレの些細なことで激高され正座させられ平手打ちされたりする深刻なケースも報告されています。
なぜ、このような被害が増えているのでしょうか。男性のDV被害を支援する専門家は、近年のジェンダー意識を巧みに利用し、相手を精神的に支配する女性加害者の存在を指摘します。 「あなたを変えるため」とDVを正当化し、男性の罪悪感につけ込むのです。男性に「稼ぎ手」としての役割を求める一方で、「男性も家事や育児をすべき」という高い理想を掲げ、それが叶わないと暴力や暴言で不満を爆発させる。もし男性が反撃すれば、「モラハラだ」と逆に追及してくる。「男女平等」という言葉が、使い方を誤れば相手を支配する都合の良い凶器となり得ます。
被害男性が助けを求めようとしても、「男のくせに情けない」との価値観で、男性の被害が軽視されがちで、DV被害に遭っている男性をさらに孤立させてしまっているという側面も指摘されています。


「男らしさ」の揺らぎと社会の変化

もう一つの背景が、「男性の役割」そのものの変化です。
原始以来、社会には物理的・軍事的な争いや脅威があり、「女性を守る」ことが男性の重要な役割でしたが、平和な現代日本ではその必要性がほとんどなくなってしまいました。男性がその体力や腕力といった特性を発揮する場面がなくなり、社会的に男女が「均質化」してきました。
さらに、この変化に、「我慢をせず、自分らしく生きなさい」という現代の教育方針が加わります。「草食系男子」が増えた背景には、守るべき対象も、発揮すべき力も見失った現代男性のアイデンティティの漂流があり、男女の役割が曖昧になったことで、かえって新たな軋轢が生まれているのです。
かつての「男らしさ」「女らしさ」という価値観は変容を迫られています。DVは、性別に関係なく、いかなる理由があっても許されない人権侵害です。「男だから」「女だから」という古い価値観は捨てて、人間として相手を尊重し、性別に関わらず誰もが「助けて」と言える社会を築いていく必要があります。
残念ながら、性別を問わず、他人を思いやるどころか、自分の感情の抑制が効かない人が増えているのではないでしょうか。DVではなく、対話によって関係を築くことの重要性を再認識する必要がありますね。それでは次号で!