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【タックル法律講話】法廷は一種のセレモニー。 「初めから結論ありき」の裁判も多い。 良い弁護人ほど、悩みが深い…

2012/03/25

法廷は一種のセレモニー。
「初めから結論ありき」の裁判も多い。
良い弁護人ほど、悩みが深い…

法廷で怒られる新人検事

ある詐欺事件の刑事裁判。被害者は「株を買うから、と言われて、二千万円預けたのに返してくれない!騙された!」と言い、被告人は「お金は借りたもの。借用書もある。今は返せないだけ。詐欺ではない!」と全面否認で徹底的に無罪を争いました。
担当検事はまだ新人で、裁判では、裁判長や弁護人から、かなり厳しい口調で怒られたり,やり込められたりしていました。それを見た被告人側は、「しめた!これはこちらに有利だ!」と思い、無罪を確信していたかも知れません。
ところが、フタを開けてみると、執行猶予は付かず、二年八か月の実刑!
要するに、法廷で検事がみっともない姿を晒そうが晒すまいが、結論(判決)は変わらない、ということです。最後は、裁判官が決めます。
もともと裁判所と検察庁はお役所であり、人事交流もあって仲良しなので,裁判官は、「よし、新人検事を鍛えてやろう」という指導的な感覚で、(表向きは)厳しい言葉を浴びせる場合も多いのです。
結局、決めるのは裁判官ですから、「いくら借用書があっても二千万円もフトコロに入れてるのだから信用ならない。しかも一円も返していない」という心証があり、あとは「裁判」というセレモニーを淡々とこなしただけ、とも言えます。

良い弁護人とは?

完全否認している場合は、「不合理な弁解を繰り返し、反省の色がない」ということで、執行猶予は付かず、実刑となるケースも多いのです。反対に、罪を認めて少しでも被害弁償をすれば、執行猶予が付いたかもしれません。弁護人の戦術として悩ましいところです。
日本の有罪率は九九パーセントで、検察は有罪が確実な事件しか起訴しません。そんな中で、刑事事件で無罪を勝ち取るのは、弁護人がどんなに優秀でも至難の業なのです。
被告人が「俺は無罪だ!」と思っていても、客観的証拠から見ればそうならないことも多いのです。その時は、弁護人としては、被告人に、有罪になる可能性も伝えなければなりません。しかし、それでも、「断じてやっていない!無罪だ!」と言う被告人の場合は、弁護人としてはそれを信じて、ある意味では被告人の言うとおりに動くしかありません。
お金のためだけにやっている弁護士ならそれでもいいのですが、「少しでも、依頼者(被告人)のために…」と思えば、本人にとって不利・不都合な見通しもアドバイスしなければなりません。自分に耳障りのいいことばかり言う弁護人が、良い弁護人というわけではないのです。
皆さんもご注意を!それでは次号で!

経済誌フォーNET掲載月:2012年3月号