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【タックル法律講話】吐いた唾は呑むな! 「言葉」に責任を持たない今の政治に、未来はない…

2011/08/30

吐いた唾は呑むな!
「言葉」に責任を持たない今の政治に、未来はない…


「言葉」は政治家の命

われわれ弁護士は、「法律」を武器に戦いますが、「法律」は、あくまでも人間が作った道具に過ぎません。社会には、「法律」以前に、倫理や道理、人として守るべき正しい道があります。
読者の皆さんもあきれていると思いますが、憲政史上、最悪・最低の首相、菅直人。この人の発言には、全く倫理や道理がありません。
民主党政権で特に目立つのが、遵法精神の逆、つまり、「法律で禁止されていなければ、何をしてもよい」という考え方です。法律は人間の約束事を制度にしたものですから、もともと、皆が約束したことを守るのであれば、法律なんか要りません。約束したことが上手くいかなかったり、破られたり、ということがあるからこそ法律がつくられるのです。
しかし、だからと言って、法律で決められていなければ守らなくていい、ということになりません。それ以外の部分を守ろうという「人の道」があるからこそ、社会が回っているのです。
ところが、最近は、約束したこと、言ったことを守らない人が多いので、法律が間に合わず、「それは、人としておかしい」と言わざるを得ない状況が増えています。それを象徴しているのが、今の政治ではないでしょうか。
例えば、菅直人。早期に退陣すると約束して、かろうじて内閣不信任決議案を否決に持ち込みました。しかし、結局、その約束を守りません。
また、菅は、原発に対するストレステストを唐突に表明しました。その数日前には、玄海原発に対して「国が責任を持つから」と再稼働の受入を要請していたにもかかわらず、です。当然、佐賀県知事らは激しく反発しました。
さらに、言うまでもなく、民主党のマニフェストは、ほとんど実行されていません。

吐いた唾は飲むな!

政治家が言ったことを守らない。世論を見てコロコロと意見を変えて無責任に発言する様には激しい怒りさえ覚えます。このような人間が首相になる時代ですから、大人が子どもに見本を見せられわけがありません。
ヤクザは、「約束を破るな!」という意味で、「吐いた唾は呑むな!」と言います。「言葉の重み」を理解している点で、菅より立派かも知れません。
そういう意味で、今の政治が、言葉に対する信用を失わせたということは重大なことです。約束を守らず、責任も取らないのですから、「約束を守る方が馬鹿馬鹿しい」「とりあえず、今だけ、やり過ごせばいいや」という風潮が蔓延します。
昔は、一国の首相が約束を破れば、「公約違反だ!」と言って大騒ぎだったはずですが、今は、マスコミも何も言いませんね。マスコミ自体が「言葉の重み」を忘れてしまったからでしょうか?「吐いた唾は飲むな」、言ったことは守る、守れないことは言わない。当たり前のことが通じる日本に戻れるでしょうか?
それでは次号で!

ビジネス情報誌「フォーNET」掲載月:2011年8月号