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【タックル法律講話】暴力団の「あからさまな犯罪」が増えています。 どんどん悪化する日本の治安に打つ手はあるのでしょうか?

2011/07/01

暴力団の「あからさまな犯罪」が増えています。
どんどん悪化する日本の治安に打つ手はあるのでしょうか?


背後に暴力団関係者?

五月に東京都立川市の「日月警備保障立川営業所」で約六億円が奪われた強盗致傷事件。実行犯の一人が営業所に侵入し、宿直の警備員をメッタ刺しにして金庫の暗証番号をムリヤリ聞き出して現金を奪いました。
これまでの逮捕者は五人。うち一人は山口組系の暴力団員ということです。しかし、奪われた現金は見つかっていません。
実行犯の二人は暴力団関係者ではなく一般人であり、しかも、お互いに面識がないことから、捜査本部では、背後の暴力団関係者らが複数の人間を使って指示を出していたと見ています。
犯行グループは、十数台の携帯電話で頻繁に通話しており、捜査のかく乱を狙ってメンバーがそれぞれ三台以上の携帯を使い分けていました。大半は実行犯が使っていた他人名義の携帯電話で発着信していますので、実際の使用者を知る術はありません。
多くの謎を残しているこの事件。
実行犯のずさんな手口に対して、指示していた背後者たちの手口は巧妙で、実行犯が逮捕されることも想定内だったはずです。
逮捕された実行犯が背後関係を白状しないのは、報復を恐れているのか?後でお金をいっぱい貰う約束になっているのか?それとも本当に背後者を知らないのか?
もしかしたら、本当に、背後者を「知らない」可能性もあります。場所と時間だけを指定されて、前金を渡されて、犯行に及んだのかもしれません。
いずれにせよ、背後関係の捜査は非常に困難になるでしょう。

日本の治安はどんどん悪化している?!

昨今の暴力団排除、資金源封殺の影響で暴力団もあえいでいますが、一方で暴力団のマフィア化が進み、犯行形態が多様化しています。この強奪事件もその一端です。
暴力団による盗みは昔からなかったことではありませんが、特に、最近、この手の暴力団による「あからさまな犯罪」が増えてきたように感じます。
しかし、現在の日本における捜査権限では、今回のような事件を解明するのは難しいと思います。むしろ、諸外国のマフィア対策法などを参考にして、刑を軽くしてやることを条件に供述を引き出す「司法取引」や、捜査機関が身分を隠して犯罪の実行を働きかけ、実行されるのを待って逮捕する「おとり捜査」、電話のやり取りを盗聴する「通信傍受」などの新たな法制度の導入を考えなければなりません。
このままでは、日本は「犯罪者天国」になる可能性があります。日本の治安が急速に悪化していると感じるのは私だけでしょうか?
それでは次号で!


経済誌フォーNET掲載月:2011年7月号