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【タックル法律講話】やらせメール事件で、九電と第三者委員会委員長のヤメ検弁護士がバトル! 「ヤメ検」って、一体、何者?

2011/11/01

やらせメール事件で、九電と第三者委員会委員長のヤメ検弁護士がバトル!
「ヤメ検」って、一体、何者?


「郷原信郎」というヤメ検弁護士

九州電力がやらせメール事件で揺れてますね。第三者委員会の委員長に就任した郷原信郎というヤメ検弁護士が、委員長退任後も九電批判を繰り返し、民主党の枝野経産大臣もこれに同調して、ボルテージは上がる一方です。
九電の対応の是非は別にして、一体、この郷原信郎というのはどういう人物でしょうか?
検事歴約二〇年で平成十八年に検事をやめ、弁護士になってまだ五年。検察幹部出身の「大物ヤメ検」に比べると、小粒です。しかし、検事を辞めた後、検察批判のコメンテーターとしてテレビに出始め、特に、小沢一郎に対する検察の捜査のやり方を批判し続け、小沢氏と近い当時の原口一博総務大臣に請われて、総務省顧問に就任しています。小粒ながら異例の抜擢であり、極めて、民主党に近い人物と言えます。
「もと検事」というと「公平な第三者」というイメージを持ちがちですが、この経歴を見ると、果たして、どうでしょうか?第三者委員会のメンバーは九電側が選んだことにはなっていますが、本当のところは?です。

「ヤメ検」の生態

では、「ヤメ検」とは、一般的に、どういうものでしょうか?
「もと検事の弁護士」というと、一般の人は何か凄腕の弁護士のように思う人も多いのですが、実際はそんなことはありません。
むしろ、これまで問題になったヤメ検はたくさんいます。特に、暴力団や裏社会の顧問弁護士を務めたり、弁護士倫理に反することをして、逮捕されたり、懲戒を受けた人達もいます。
ヤメ検の一番の問題点は、普通の弁護士が多く手がける「民事事件」を扱った経験がないので、民事事件の知識や処理能力が不足していることです。
また、「ヤメ検だから、刑事事件の時に検察や警察に顔が利くだろう」という幻想があります。実際は、ヤメ検だからといって、古巣の検察や警察が手心を加えるなんてことはありません。以前は、ヤメ検と検察で交渉して「このあたりで執行猶予で手を打とう」というネゴシエーションがあった時代もありましたが、今は全く通用しません。むしろ、ヤメ検は法廷戦術に長けていないので、刑事専門で経験を積んできた弁護士に頼んだ方が無罪を勝ち取れるケースが多いのです。
また、依頼者にも「もと検事の偉い先生だから…」というイメージがあるので、弁護士費用も一桁違ったり、「え?」と思うような高い金額を取られることもあり、最近では、費用のトラブルも増えています。
以前は、ヤメ検でも悠々自適で弁護士として稼げていましたが、今は、「もと検事」というだけでは喰えません。必然的に、「なんとか委員会」、「なんとか調査会」などの肩書で公的なところに潜り込む、ということも増えてくるのでしょう。いずれにしても、「もと検事」ということと弁護士としての力量は、全く別物です。それでは次号で!


経済誌フォーNET掲載月:2011年11月号