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【タックル法律講話】ユニクロ会長柳井正氏の発言に異論あり! 日本の対応はいたって冷静で真っ当なものです。 チャイナリスクが顕在化した今、中国との付き合い方を考える時期にきています。

2012/11/05

ユニクロ会長柳井正氏の発言に異論あり!

日本の対応はいたって冷静で真っ当なものです。

チャイナリスクが顕在化した今、中国との付き合い方を考える時期にきています。

 

柳井氏の発言

 

二〇一二年十月八日発行の「日経ビジネス」誌で衣料品ユニクロ(ファーストリテイリング社)会長兼社長の柳井正氏が,尖閣問題で揺れる日中関係について、「状況は多くの人が考えているよりもシリアスです。日本人は単純に領土問題だと思っていますが、中国の人は戦争だと思っています。日本の外務省や政治家、あるいは一般の文化人の認識はかなり甘いですね」と述べています。また、日本政府の対応について、「彼ら(中国)の本意を理解して外交をしないといけないということです。日本は外交も、今回の件への対応も幼稚ですよね。情けない」と一蹴しています。そして、経営者の目線で中国での日本製品の不買運動などについて、「日本、中国とも、あまり物事を知らない人が感情的になっています。偏狭な愛国心、とでも言いましょうか。その間に挟まれて企業が困っている構図でしょう」と述べています。主張は一貫して、「日本の政治家の感覚がずれている」、「中国は最大最適の生産地であり、中国で作り、売り続ける」、「早く解決してもらいたい」というものです。

しかし,私は違うと思います。いかにだらしない民主党政権とはいえ,今までのところ,真っ当な対応に終始しています。中国側のオーバーヒートした反応に比べて、日本側の対応は冷静そのもの。むしろ,おとなしいくらいで,柳井氏がいう「偏狭な愛国心」でもなく、「幼稚な」対応でもありません。

 

反日国家のカントリーリスク

 

柳井氏はグローバルな展開を目指す商売人ですから,このような主張になるのは理解できますが、そもそも企業活動は日本国があってのものです。日本を出て行って無国籍企業にはなれないのです。吹き荒れる反日の嵐の中,九月十五日には、ユニクロの上海郊外店舗が「尖閣諸島は中国側の領土だ」との張紙を掲示しました。これは中国警察からの強い指導で、現地の店長がやむなく従ったもので、この一店舗で四十分間だけのことだったようです。これについて日本で「もうユニクロの服なんか買わない!」という人々がいたことについて,柳井氏は、「これでは日本も中国も同じだと、少し残念に思いました。もっと冷静に、本当の愛国とはどういうことなのか、両国民がどうすべきなのかを考えるべき」と述べています。

しかし,これはまさに,反日国家(中国)に商売に出向いている当然のリスクといわざるを得ません。日本人と日本国を守る愛国自立精神と商売上のリスク判断は全く別の価値観ですから,これを混同して論じる柳井氏の主張には違和感を覚えます。

反日デモで,「愛国無罪!」と叫び,日本の店を破壊し、略奪する人々,それを放置する警察の姿を見て、中国の本質が見えましたね。「法治国家」とは程遠い国です。「反日なら何をしてもいい」と激情で実力行使に出る中国人と、自らを省みることを知り(すぐに謝ってしまうというのは欠点ですが),冷静に対応することのできる日本人とは,そもそも根本的に合わないのです。

このようなチャイナリスクを考え,最近では,反日国家よりも,親日国家への進出に力を入れるべき,という企業が増えてきました。カンボジアをはじめ東南アジア諸国,台湾は日本のことが大好きですし,モンゴル,遠くはトルコなども親日国家なのです。実は,「反日」というのは,世界で人気のある日本人に対する「やっかみ」,「嫉妬」なのかもしれませんね。それでは,また次号で。

 

ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2012年11月