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【タックル法律講話】「国家公務員の政治活動」、一般職員は無罪で、管理職は有罪? 公務員への大甘な判決!最高裁よ、しっかりしてくれ!

2013/01/06

「国家公務員の政治活動」、一般職員は無罪で、管理職は有罪?

公務員への大甘な判決!最高裁よ、しっかりしてくれ!


禁止規定が骨抜きに…

昨年12月、元社会保険庁の一般職員と元厚生労働省の課長補佐が共産党機関紙「しんぶん赤旗」を配布して国家公務員法違反に問われた事件で、最高裁は、「一般職員は無罪、課長補佐は有罪(罰金10万円)」という判決を確定させました。
同じ行為をしておきながら、なぜ、一般職員と課長補佐とで結論が分かれるのか?おかしいと思いませんか?
最高裁は、国家公務員法で禁止されている「政治活動」は全ての政治活動ではなく、「政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められるものを指す」という新たな解釈を示しました。
そのうえで、管理職でなく、休日の私的な行為で、公務員であることも名乗っていないことから、「政治的中立性を損なう恐れがない」として、一般職員は無罪、としたのです。
しかし、国家公務員法・人事院規則では、「政党その他の政治的団体の機関誌たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること」を明確に禁止しています。今回の最高裁判決は、「実質的に」という都合のいい言葉を使うことによって、この禁止規定を骨抜きしにしてしまった大甘な判決と言えます。

「公平らしさ」が大切

本来、「公のために奉仕する」という公務員の義務は、地位や身分、勤務時間か否かを問わず、一般職か管理職かも関係ないはずです。
公務員が政治的活動をすれば、国民の「公務への信頼」が損なわれます。国民は、公務員が中立な立場で仕事をしてくれている、と思っているからこそ、信頼して様々な問題の処理を委ねているのです。「政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められるかどうか」ということよりも、誰が見ても「公平だ」と思える「公平らしさ」が社会の仕組みとして極めて大切なことなのです。公務員にはそのような重い責任があるからこそ、反対に、手厚い身分保障もなされているのです。
しかし、北海道教職員組合(北教組)は組織ぐるみで民主党を応援しましたし、自治労の組合員も公然と選挙運動を行っています。教員も地方公務員もいずれも罰則がなく、野放し状態です。これでは、公務の「公平らしさ」が守られるはずもありません。
公務員の立場は、民間と違って重いのです。ある時は民間と同じような権利を求め、ある時は公務員としての待遇の良さを求めるような、都合のいいヌエ的な発想は許されません。公務員には公務員としての覚悟がなければなりません。そういう意味で今回の最高裁は、非常に問題のある判決ですね。
最後になりましたが、今年もこのコラムでタックルをかましますので、皆様、ご愛読のほどよろしくお願いします。それでは次号で!
ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年1月