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【タックル法律講話】体罰?で、高校バスケ部のキャプテンが自殺! 指導力不足の教師が引き起こした痛ましい事件です・・・

2013/02/07

体罰?で、高校バスケ部のキャプテンが自殺!

指導力不足の教師が引き起こした痛ましい事件です・・・


「体罰」は楽な指導法


大阪市立桜宮高校の男子バスケットボール部主将だった男子生徒が顧問の男性教諭の体罰が原因で自殺し、大きな問題になっていますね。遺書には、「ほかの生徒も同じこと(ミス)をしているが、自分だけがたたかれる。つらい」という記載があったそうです。

実態がだんだんと明らかになるにつれ、男性教諭が、頻繁に、激しく、叩いたり、殴ったりしていたことが判明し、もはや「体罰」ではなく「暴行・傷害」といわざるを得ません。歴代のバスケットボール部主将は「殴られ役」で、他の部員に対する見せしめ的な意味もあったそうです。

全国大会の常連で、それだけ厳しくしていたということかもしれませんが、体罰や暴力がなくとも、強い高校はいくらでもあります。「俺の言う通りにやっていれば、全国大会に行けるんだ!」という無言の圧力があったのかもしれませんが、結果はあくまでも生徒の努力の賜物です。「殴って強くする」というのは結局は大人の論理に過ぎず、「勝つこと」、「強豪校になること」だけがこの男性教諭の目的となってしまっていたのでしょう。

しかも、毎年キャプテンは殴られ役だったということは、毎年同じやり方を生徒に押し付けていたということであり、生徒一人ひとりの個性を見ていなかったということです。個性を見なくていいわけですから、指導法としては楽ですよね。殴らなければ教えられないということは、明らかな「指導力不足」です。

私がやっているラグビーでも、優秀な指導者ほど、「言葉」を大切にしています。「言葉」で人を動かすわけですから、圧倒的な情熱、知識、説得力が必要です。


暴力は連鎖する


学校スポーツ、部活動は、あくまでも教育の一環であり、目的は「生徒の人格形成」です。「ミスをしたから」という理由で殴られ萎縮し、ロボットになってしまっては、自分で創意工夫し現状を打破していく力は付きません。

残念ながら、この男性教諭は、「暴力で人を支配できる、変えられる」と勘違いしていたのでしょう。

暴力は連鎖します。人を殴れば、殴られた人は、自分より弱い者に矛先を向け、暴力をふるいます。児童虐待もそうです。「親から虐待を受けた人は、自分が親になったときに子供を虐待する傾向がある」という現実があります。

そもそも人間は弱い存在であり、暴力に対する耐性は極めて低い。「人間」に対する深い洞察力があれば、簡単に、人の顔や頭を殴ったり、叩いたりはできないはずです。「暴力」というものに対する畏怖、謙虚な姿勢が不可欠です。特に、人を指導する立場にある者には…。それでは、次号で。


ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年2月