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【タックル法律講話】約百二十年ぶりの民法改正! 「個人保証」を禁止するなど、消費者保護の観点も。 ただし、やはり「教育」が大切です!

2013/05/09

約百二十年ぶりの民法改正!

「個人保証」を禁止するなど、消費者保護の観点も。

ただし、やはり「教育」が大切です!


個人保証の禁止


現在、政府は、民法の契約・債権分野の改正案を検討しています。この法改正が実現すれば、明治二十九年(一八九六年)の民法制定以来、約百二十年ぶりの大規模な改正となります。この改正の目的は、時代にそぐわなくなった民法を「現代化」すること、裁判所の判例で積み重ねられたルールや原則を「明確化」することの二つあります。

今回の見直し項目は約三百にも及ぶのですが、その中でも、「保証」について、大幅な見直しをしています。具体的には、「保証」について、金融機関が企業に貸付けをする場合、経営者の親類、友人、従業員などの「第三者」を保証人にすることを禁じました。これは、企業の倒産によって、個人保証をした第三者までもが財産を失ったり、自殺に追い込まれるなどの「保証被害」を防ぐためです。

しかし、この改正案に対しては、「担保になる不動産を持たない経営者は、第三者の個人保証に頼らざるを得ず、これを禁止すれば、融資を受けられなくなってしまう」との異論が出ています。もともと保証人制度は、借りやすく、融資を増額しやすくする制度ですが、この制度は世界的に見れば稀で、日本では保証人のハンコをついたばっかりに悲惨な目にあった人がたくさんいます。この改正案は、一見すると、保証人を悲惨な目にあわせないようにとの配慮から作られたようにも思われますが、実は、「家族や第三者を保証人にしなければならないような会社は、融資を受けられなくても仕方ない。潰れてしまえ。」と言っているのかもしれませんね。


消費者教育の重要性


たしかに、このような改正案は、消費者保護という観点からは、それなりの意味はあると思います。しかし、それと同時に、「法律のイロハ」を、もっと、小学校、中学校、高校で教えることが大切です。

「法律のイロハ」とは、「約束したら、その効力が生じる。たとえ、口約束でも」「署名したり、ハンコを押したりしたら、あとで取り消せない。だから慎重に」「保証人は、借主と同じ責任を負う。だから慎重に」といったレベルです。こういうことをきちんと学校で教えておけば、無用なトラブルは減るはずです。  大人になってから、「署名、押印したけど、内容はよくわかりませんでした。だから、払いません。」では済まされませんからね。

ただ、業者や経済界としては、あまり消費者が賢くなっては困るのか、残念ながら、現在の学校教育では消費者教育はほとんど行われていません。

しかし、子供の頃からきちんと消費者教育がなされれば、高額な負債を背負わされる悲惨な事案やトラブル、無駄な訴訟が減りますから、国家的見地からも大いにメリットがあるのです。消費者教育は、成熟した社会を実現するためにも必要ですよね。それでは次号で!


ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年5月