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【タックル法律講話】九州誠道会が解散!長かった暴力団抗争に終止符?! 変貌する暴力団、反社会的勢力の世界。 私たちが安らかに暮らせる日は来るのでしょうか?

2013/07/15

九州誠道会が解散!長かった暴力団抗争に終止符?!
変貌する暴力団、反社会的勢力の世界。
私たちが安らかに暮らせる日は来るのでしょうか?

先日、指定暴力団九州誠道会(福岡県大牟田市)が解散届を出しましたね。これを受けて、抗争を続けていた指定暴力団道仁会(福岡県久留米市)も「抗争終結」を宣言しました。ただ、県警は、両団体が改正暴力団対策法に基づき「特定抗争指定暴力団」に指定されたことから、規制逃れで抗争終結を装った可能性もあるとして、慎重に今後の推移を見極める方針です。
両者の抗争は道仁会の跡目争いを巡る内部分裂から始まり、その後、反主流派が九州誠道会を発足させ、福岡、佐賀など4県で銃撃や手投げ弾爆発など計47件の事件が起きて、14人が死亡、13人が負傷しました。2007年11月には佐賀県武雄市で当時34歳の一般男性が組員と間違われて射殺されるなど、民間人にも犠牲者が出ました。
こうした抗争の激化を受けて、昨年10月に改正暴対法が施行され、両団体は「特定抗争指定暴力団」に指定されました。これによって、警戒区域内で組員が5人以上集まったり、組事務所に立ち入ったりすると警察が即逮捕できるようになり、指定以降は抗争事件は起きていません。
「解散、抗争終結」の本当の理由はわかりませんが、この改正暴対法による規制も一定の影響はあったと思います。

「何でもあり」暴力の潜在化

1992年に暴対法が施行されて二十年近く経ちますが、年々、暴追運動の機運は高まって規制も厳しくなり、統計上の暴力団組員の数は減り続けています。市民からすれば「目に見える」暴力団が減少するということは歓迎すべきことなのかもしれません。
しかし、「暴力団」の看板を下ろしただけで、そこにいる「暴力団員」が消えてなくなるわけではありません。足を洗ってカタギに戻りたいという組員の社会復帰は積極的に支援しなければなりませんが、残念ながら、依然として犯罪行為に手を染める輩も減りません。むしろ、「暴力団」の看板がなくなれば、暴対法や暴排条例の網がかかってこないわけですから、動きやすくなり、警察が情報をつかむことがますます難しくなります。
暴力団側にとっても、昔ながらの任侠道ではなく、暴力団というビジネスになっています。解散してもしなくても、実態は変わらないということです。
日本における暴力団に対する取組は、今までは、ある意味のん気なもので、お上から「指定暴力団」に指定された暴力団も、暴対法の様々な規制を甘んじて受けていました。しかし、全国的な暴排条例の施行、改正暴対法、大々的な暴追運動の展開などによって、その存在すら否定されるようになると、そうはいかない。暴力団側からすれば「ここまでバッシングされるなら、指定暴力団にされてまで、我慢する意味がない」となってきます。「暴力団」という枠組がなくなると、法の規制が効かず、警察の情報収集、捜査はますます困難になります。そのとき、我々国民は、警察にどういう権限を与えて、捜査手法を強化するのか?国民一人一人が真剣に考え、おとり捜査、通信傍受、司法取引などの海外のマフィア対策を参考にして、法律を改正して新たな捜査手法を導入するのか?しないのか?その決断を迫られる時期が日本にも近づいているような気がします。それでは、次号で!

ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2013年7月