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【タックル法律講話】「脱法ドラッグ」から「危険ドラッグ」へ。 呼び名を変えても、法の網をくぐり抜ける「いたちごっこ」は続きます。

2014/08/15

「脱法ドラッグ」から「危険ドラッグ」へ。

呼び名を変えても、法の網をくぐり抜ける「いたちごっこ」は続きます。

覚せい剤よりもタチが悪い

ここ最近、世間を騒がせている「脱法ドラッグ」。そのうち、「脱法ハーブ」は、乾燥させた植物片(ハーブ)に幻覚症状や興奮作用がある化学物質を噴霧したもので、お香やアロマと称して販売されていますが、安価で手に入りやすいため、「ゲートウェイ・ドラッグ(入門薬物)」とも呼ばれています。

「脱法」とは「法の埒外」という意味ですから、覚せい剤などと違って、「違法」ではありません。この脱法ドラッグを法律の枠内に押し込めるには、かなりハードルが高い。薬は化学式でしか特定できませんから、取り締まろうと思えば、全ての化学式を網羅しなければなりません。ある化学式のドラッグを禁止しても、ごく一部だけ違う化学式の成分を組み込んでしまえば規制をくぐり抜けられるわけですから、まさに「いたちごっこ」です。これらを全部規制することは、ほぼ不可能に近いでしょう。

また、「脱法」だからといって安全なわけではありません。幻覚症状や興奮作用があることは覚せい剤とほぼ同じ、いや、覚せい剤よりもタチが悪いと言われています。ですから、脱法ドラッグを吸って「ぶっ飛んだ」人間が、危険な運転をしたり、人に危害を加えたりしても、薬物使用自体は罪に問われない、という恐ろしい時代になってきました。しかも、心身喪失あるいは耗弱(こうじゃく)状態で、無罪になる可能性すらあります。

先日、警察庁と厚労省は、「『脱法』という表現が安易な使用を招いている」として、新しく「危険ドラッグ」と呼ぶように定めました。しかし、名称を変えても「いたちごっこ」は続きます。

抜本的な解決は難しいが…

現状では、脱法ドラッグは野放しで、規制が追いついていません。ネットで検索すればわかりますが、堂々と販売されています。

先日、厚労省は、脱法ドラッグを販売する店舗に対し、薬事法に基づき、指定薬物の疑いがある物品について検査を受けるよう命じる方針を決めました。検査結果が出るまで同じ物品の販売を禁じることも可能で、違反すると一年以下の懲役または百万円以下の罰金が課されます。

しかし、これもあくまで、臨時の対策に過ぎません。包括的な規制やさらなる厳罰化を進める必要があります。また、薬物犯罪に手を染めた芸能人や有名人が、あっさりとテレビに復帰するのも子供達には悪影響です。

さらに、こうした薬物は、圧倒的に外国から入ってくるものが多いのです。移民政策やカジノ構想など、これまで以上に外国人が日本にやってくると、薬物を水際で防ぐことは、ほぼ不可能になるのではないでしょうか。

薬物にせよ、銃にせよ、海外からどんどん日本に持ち込まれているものに対して、ますます防御が追いつかなくなっています。外国人が増えて日本という国に対する帰属意識や社会規範が急速に薄らいでいます。

抜本的な解決は難しいとは思いますが、いつの時代も、「社会、他人に迷惑をかけてはいけない」というモラルが犯罪防止の原点ですから、日本人としてこの国をどう守っていくのか、という教育問題に地道に取り組み、モラルを育んでいくことが必要だと思います。

ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2014年8月