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【タックル法律講話】悲惨な遺体の写真を見てストレス障害に! 正直者が馬鹿を見るおかしな裁判員制度。 お国のために頑張ったのに??

2014/11/15

悲惨な遺体の写真を見てストレス障害に!
正直者が馬鹿を見るおかしな裁判員制度。
お国のために頑張ったのに??

先日、強盗殺人事件の裁判員を務めた福島市の六十代の女性が起こした民事訴訟の判決が出ましたね。その女性は、「裁判員裁判で悲惨な遺体の写真などを見せられたために、フラッシュバックや不眠などの急性ストレス障害になった」として、国に対し二百万円の損害賠償を求めていました。女性は、裁判員が呼出しに応じなかった場合に過料を課すことを定めているのは、憲法が禁止する「苦役」に当たり、裁判員制度は憲法違反である、と主張していました。しかし、福島地裁は、「憲法違反ではない」として、女性の請求を認めませんでした。
私は、裁判員制度が導入される前から、再三、このコーナーで「おかしな制度だ。廃止すべきだ!」と指摘してきましたが、その矛盾が露わになった訴訟だと思います。
つまり、「裁判員になるのは国民の義務であり、拒否したら罰則がある」と定めておきながら、「それならば、お国のために!」と真面目に裁判員として頑張り、裁判で悲惨な遺体の写真を見せられた結果、精神的にダメージを受けて障害を負った人には、国は何も補償してくれない、ということです。
昔の「徴兵制」では、召集を拒否したら罰せられるかわりに、戦場でケガをしたり、死んだりすれば、国からはそれなりの補償がなされていました。しかし、「現代の徴兵制」とも言われる裁判員制度では、精神的苦痛を受けたり、ストレス障害になったりしても、何の補償もないのです。
裁判員の選任手続に真面目に応じた人たちは、まさに「正直者が馬鹿を見る」ことになってしまいます。

「参加したくない」が八○パーセント!

そもそも、国民は裁判に参加したいのでしょうか?
最近の世論調査でも、裁判員として裁判に「参加したくない」と答えた人は八○パーセントにものぼっています。参加したくない国民を義務で縛り、その挙句に、国は何も補償しないのです。
また、被告人にとっても迷惑千万な制度です。裁判員制度が導入される前は逮捕から二十日で起訴された後は保釈が認められることが多かったのですが、裁判員裁判では事前準備の手続が延々と続くため、なかなか保釈されず、身柄拘束期間が大幅に長くなっているのです。一体、誰のための裁判員制度なのか?全く理解できません。刑事裁判の原則は、「真実発見」と「適正手続」です。裁判員という「ド素人」を裁判に参加させることで、この理念から遠ざかってしまっています。
もともと、裁判員制度を導入したきっかけは、当時、国民感情からすると、おかしな判決が相次いでいたため、「裁判官も、国民の感覚を身に付けるべきだ」という批判からでした。
そうであれば、本来は、「世間を知らない」裁判官たちを矯正すべきなのに、いつの間にか、裁判官はそのままにして、国民を裁判に参加させる制度を導入してお茶を濁してしまったのです。しかも、裁判員制度のために法廷の拡張工事をしたり、PRや広報活動をしたり、人的コストも増え、税金コストが増大したにもかかわらず、裁判官の給与はそのままです。何かおかしいですよね。このようなおかしな制度は、一刻も早く廃止すべきなのです。それでは、また次号で!


ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2014年11月