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【タックル法律講話】「成人」年齢の引き下げ問題! どこからが大人なのか? 選挙権はあるけど、タバコも酒もギャンブルもダメ?

2016/10/17

「成人」年齢の引き下げ問題!
どこからが大人なのか?
選挙権はあるけど、タバコも酒もギャンブルもダメ?

難しい線引き

法務省は、「成人」の年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正案について、周知期間や施行日などに関するパブリックコメント(意見公募)を始めました。法務省によると、引き下げ案が成立すると、約200万人の「成人」が誕生するそうです。
今年はこれに先行した形で選挙権付与が18歳に引き下げられました。選挙権があるということは、実際はともかく、国政に関する判断能力を有しているとみなされていることになります。
それなのに、依然として、少年法では18歳は「子ども扱い」というのもおかしな話です。2歳の差に合理的な理由はありません。
少年法の引き下げについては、少年犯罪の残忍性が強まっているため引き下げるべきだという声は以前からありました。確かに、少年法の適用年齢が18歳に引き下げられれば、大人と同じく刑罰を科されますから、犯罪の「抑止力」になるという側面はあります。しかし、一方で、少年が矯正のための教育を受ける機会が失われることにもなりますので、難しい問題です。
国の行く末を決める「選挙権」はあっても、少年法では18歳は子供扱い。また、飲酒、喫煙、ギャンブルだけは従来通り20歳からという制限を設けるという意見もあるようですが、そもそも、2歳の差は何なのか?18歳では酒もタバコも害があるという医学的根拠はありません。
これでは、「どこからが大人なの?」と本当にわけが分からなくなってきますね。


「けじめ」がない社会

このように成人年齢引き下げについては、慎重な議論が必要なのですが、選挙権付与を急ぎすぎた感があります。そもそも「20歳になれば大人だ」という実感を今の若者が持っているかといえば、甚だ疑問です。20歳でも学生だったりフリーターもいるわけですから、モラトリアムを謳歌し、大人になる実感に乏しいのではないでしょうか?
残念ながら、大人になる「けじめ」が今の日本にはありません。そのことがこうしたあやふやな「成人」観になっているのではないでしょうか?
かつて日本の少年は15歳で「元服式」を迎え、本人も周囲も大人として認め、大人として扱っていました。体力、知力が大人に近づいたならば、早く「大人扱い」した方が立派な大人になる、という先人たちの知恵なのでしょう。
こうした日本の伝統が継承されていないことが、かえって混乱を招いているのかもしれませんね。けじめがない、締りが無い社会になっている気がします。幼稚な大人が増えています。
今一度、大切な日本の伝統、歴史を見直して、日本らしい制度の組み立てをすべきだと思います。それでは次号で!