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【タックル法律講話】後を絶たない強姦罪などの性犯罪。 政府は「強姦罪の厳罰化」に向けて検討を始めています。
2015/11/17
後を絶たない強姦罪などの性犯罪。
政府は「強姦罪の厳罰化」に向けて検討を始めています。
殺人より重い「二次的レイプ」
強姦、強制わいせつなどの性犯罪はなかなか減りませんね。ここ福岡県も性犯罪の発生率が全国ワーストクラスです。これは被害申告があって表に出た数字によるものですので、実際には、被害者の泣き寝入りで表に出ていない暗数はもっと多いはずです。
そんな中、現在、政府では「強姦罪の厳罰化」が検討されています。特に注目すべきは、①強姦罪の法定刑(3年以上20年以下の懲役)の下限を引き上げる、②家族や教師など地位・関係性を悪用した性的行為の処罰規定の新設、③被害者の告訴がなくても捜査機関が立件できる「非親告罪化」、という内容です。
強姦の被害者が警察に駆け込めば、調書を事細かく取られて悪夢がよみがえり、さらに裁判になって証言する際にも再び悪夢が…ということになります。被害者としては一刻も早く忘れたいのですが、その後の捜査や裁判で二重、三重に精神的苦痛を味わう、いわゆる「二次的レイプ」が発生してしまいます。一生心の傷を抱えるわけですから、殺人より重い罪ともいえるでしょう。
そういう意味では、①の「法定刑の引き上げ」には賛成です。アメリカでは懲役25年以上、終身刑などですから、日本の強姦罪の刑は軽過ぎます。性犯罪は再犯率が50%超と極めて高く、犯人たちは一種の病気ともいえます。「病気なのだから、改善プログラムを充実させるべきであり、長過ぎる懲役刑はよくない」という考え方もありますが、やはり、犯した罪の重大性を考えれば、厳罰に処すべきでしょう。
②の「家族や教師などの地位・関係性を悪用した性的行為の処罰規定の新設」にも賛成です。これまで、この手の犯罪には、処罰規定がなかったり、または、軽い刑しか適用されなかったため、家族や教師などによる子どもたちへの悪質な性的暴力が後を絶ちませんでした。この処罰規定の新設によって、少しでも抑止力になるのではないでしょうか。
問題はらむ「非親告罪化」
問題は、③の「非親告罪化」です。現行の刑法では、強姦罪は「親告罪」ですから、被害者本人が告訴しないと、加害者は逮捕されません。被害者の中には「もうそっとしておいて欲しい。人に知られたくない。」と思う方たちもおられますので、そういう方たちの意思を尊重するという考え方です。
しかし、「非親告罪」に改正されれば、被害者の告訴がなくても、警察の判断で、捜査できることになります。警察は犯罪者を捕まえるのが使命であり、「犯罪者を野放しにはできない」という価値観を前面に押し出した考え方です。しかし、被害者が望んでいない事件まで立件することになると、先程の「二次的レイプ」の問題がさらに深刻になります。
したがって、「非親告罪化」するのであれば、被害者のプライバシー、精神的苦痛、名誉などに十分な配慮がなされなくてはなりません。許し難い「性犯罪」、厳しく罰することは大賛成ですが、被害者への配慮を最大限に盛り込んだ法制度に仕上げてもらいたいですね。それでは、また次号で!