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【タックル法律講話】「山口組」の分裂!その背景には暴力団の変質があります。 もはや、「日本人」的な感覚では対応できません。

2015/10/17

「山口組」の分裂!その背景には暴力団の変質があります。
もはや、「日本人」的な感覚では対応できません。


分裂の背景は?

国内最大の指定暴力団山口組が分裂し、離脱した「山健組」(神戸市中央区)などが新組織「神戸山口組」を結成しましたね。分裂の背景には、「山健組」と名古屋に本拠を置く「弘道会」の対立があります。もともと、山口組の本流は山健組で、昔は「山健にあらずんば、山口組にあらず」とまで言われていました。ところが、五代目から現在の六代目に代わった際に権力構造がひっくり返ってしまい、弘道会中心の人事となってしまいました。
山健組としては、山口組を弘道会に乗っ取られてしまったような感覚だと思います。多額の上納金を強要され、人事でも冷遇されていましたから、不満も溜まっていたのでしょうね。また、一説には、弘道会系には日本人でない組員が多く、山健組系とは異質で相容れなかったとも言われています。
さて、新団体「神戸山口組」については、新たに「暴力団対策法」に基づく指定暴力団としての認定作業が必要です。暴力団の指定には、①犯罪歴のある構成員の比率が一定以上ある、②暴力団の威力を利用して資金を獲得、③組長を頂点とする階層的な組織を持つ、の三つの要件がありますので、今後、公安委員会はこれらの証拠資料を集めていかなくてはなりません。以前、久留米の道仁会から分裂した九州誠道会(現・浪川睦会)の認定作業にも一年以上かかりましたから、今回もある程度の時間がかかるでしょうね。


暴力団対策法の限界

そもそも、暴力団対策法の前提として、それまでは仁義・盃という任侠のしきたりがあり、そう簡単に組が分裂したりしないだろうという考えがありました。変な表現になりますが、日本の暴力団対策は「暴力団自身の自律性に任せる」という部分が大きいのです。暴力団を「壊滅すべき存在」と位置づけておきながら、国家が暴力団を団体として認定し、その行動を把握する、という不思議な構造になっています。
しかし、既に、暴力団は任侠集団ではなく、過激派・テロ集団になっています。こうなってくると、警察も抑えられません。戦後の混乱期に三国人の騒乱を警察が抑え切れないのを見かねて、「お国のために!」と当時の山口組が立ち上がって不良外国人を抑えて治安を回復したという歴史があります。良くも悪くも昔の暴力団はそういう役割を果たしていましたが、いまや、暴力団が変質し、国家意識が全くない集団になってしまいました。
昔の暴力団は、天皇を敬い、「お上に迷惑はかけない」という国体意識を持ち合わせていましたから、悪いことはやっても国家そのものを破壊するような行動は取りませんでした。権力側としても、「日本国民」という枠組みの中で、悪いことはするかもしれないが、暴力団も最後の最後には国体意識を持っているだろうという、暗黙の了解、大前提がありました。そのような同胞意識があったからこそ、西洋社会では考えられないような曖昧な暴力団対策法という法律であっても、ある程度は機能していたのです。
しかし、いまや暴力団の世界も「日本人」的感覚を持たない輩が増え、同胞意識・国体意識が無くなってしまいました。今後は、このような変化を踏まえて、新たな暴力団・犯罪対策を打ち立てていく必要があります。それでは次号で!