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「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」産経ニュースコラム2月22日(木)掲載されました。
2018/02/23
2月22日(木)、産経ニュースにコラム「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」
「暴力団からの離脱支援 さらにきめ細かく」」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。
【暴力団からの離脱支援 さらにきめ細かく】
発表された福岡県の平成30年度予算案に、県は暴力団からの離脱支援の新制度の予算として約420万円を盛り込んだ。この新制度は、暴力団からの離脱を希望する組員に対して、避難先の宿泊費や県外で就職面接を受ける際の交通費などを給付するものである。
暴力団から離脱しようとしても、地元では勤め先が見つからず、組からの報復を恐れて離脱をあきらめる組員も多い。また、所持金もなく、頼れる人もいないため、新しい生活を始めるまでの宿泊費や県外での就職面接の交通費を用意することも困難である。
このような状況に対応するために、新制度では「組織から危害を加えられる恐れがある」「家族や友人など頼る人がない」などの一定の要件を満たせば、宿泊費や交通費として一人当たり20万円前後を目途に給付することとした。
近年の暴力団排除機運の高まりの中、暴力団のシノギ(資金獲得活動)も厳しくなり、過去にないほど暴力団からの離脱者が増えている。昨年末時点の福岡県内の暴力団勢力(準構成員含む)は2040人で、暴力団対策法が施行された平成4年以降で最少となった。
最近の特徴は、服役中の離脱ではなく、社会で活動している組員の離脱が増えたことである。「家族に迷惑をかけたくない」「生活が苦しく、生活保護を受けたい」「組織への不満」などが主な理由である。
問題は、離脱した元組員の社会復帰の受け皿である。
離脱した組員数は昨年1年間で121人、そのうち就職できた元組員はわずか17人に過ぎない。元組員の就労支援のために、警察庁は「全国社会復帰対策連絡会議」を設置し、福岡県警も全国初の「社会復帰対策係」を発足させ、社会復帰アドバイザーらが組員に離脱を促したり、事業者と連携して就労先を確保したりするなどしている。
また、福岡県では、平成28年度から元組員を雇用した企業に対し一人当たり約70万円を給付する制度を開始し、さらに、元組員が業務上の損害を与えた場合には雇用主に最高200万円の見舞金を給付する制度も設けた。このように、指定暴力団が多い福岡県では、独自に公費で暴力団離脱者の就労支援を推進している。
今回の新制度も、離脱者に対するよりきめ細かい対応を目指したものである。ただ、やはり生まれ育った土地での就労を希望する組員も多く、今後も多種多様な就労先の確保や企業経営者の協力などが課題となろう。
元組員を再び違法な犯罪集団に舞い戻らせないことは、国民・県民の安全、安心に役立つことでもあり、元組員の就労支援は社会全体の問題として捉えるべきである。「更生してまっとうな人生を歩みたい」と真剣に願う元組員であれば、社会が手を差し伸べることが必要であり、現場では、警察、社会復帰アドバイザー、理解のある企業経営者、弁護士らが相談に乗り、奔走している。
今回の新制度のように行政が積極的に関与・支援を行っていくことによって、「暴力団からの離脱と社会復帰」に対する国民の理解がさらに広がることを期待したい。
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