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【タックル法律講話】裁判官が「反天皇制」を堂々と主張? 公務員には「憲法尊重擁護義務」があるはずです・・・
2019/05/07
裁判官が「反天皇制」を堂々と主張?
公務員には「憲法尊重擁護義務」があるはずです・・・
憲法を否定する裁判官?!
名古屋家裁の男性裁判官が「反天皇制」をうたう団体の集会で譲位や皇室行事に批判的な言動を繰り返していたことが判明し、国会で問題になっています。
最高裁の堀田真哉人事局長は、串田誠一氏(維新)の質問に対し、「裁判官の私生活上の自由や思想、表現の自由にも配慮しつつ慎重に調査している」、「本人から事情聴取したが、事実関係を否定したため、服務規律違反があったことまでは確認できていない」と答弁しました。
これに対し、串田氏は「積極的な政治活動に参加することは裁判官として適切でない。本人が事実関係を否定したからといってそのままにするのではなく、厳正な審査、調査を続けてほしい」と求めました。
問題の男性裁判官は、東京都内で行われた「反天皇制」の集会などに参加し、新天皇・皇后両陛下が臨席される予定の今年6月の全国植樹祭について「代替わり後、地方での初めての大きな天皇イベントであり、批判的に考察していきたい」と語ったとされています。
また、反戦団体「不戦へのネットワーク」の会報にペンネームで寄稿し、「天皇制要りません、迷惑です、いい加減にしてくださいという意思表示の一つ一つが天皇制を掘り崩し、葬り去ることにつながる」などと記したとされています。
罷免することは難しい?
もちろん、裁判官にも「表現の自由」はありますから、プライベートな時間で政治的言動をすることは問題ないと思います。
問題なのは、この裁判官が、憲法が定めた天皇制を否定する言動を繰り返していることです。
憲法99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」という憲法尊重擁護義務が定められています。憲法を最も尊重すべき裁判官が、憲法が定めている天皇制を否定するような言動を繰り返すことには、かなりの問題があります。
しかし、いくら問題のある裁判官であっても、手厚い身分保障がありますので、そう簡単に辞めさせることはできません。裁判官を罷免するには、国会が設置する「弾劾裁判所」での処分が必要となります。過去に罷免された裁判官はたった7名しかいません。
今回のようなケースでは、「憲法99条は、公務員に対し憲法尊重擁護義務を明示しているが、これは道義的な要請であり、公務員が行った個別具体的なプライベートの行為の効力を規制するものではない」という裁判例があります。したがって、仮に、弾劾裁判にかけられても罷免のハードルは高いでしょう。
しかし、公務員、ましてや裁判官でありながら、憲法を否定するような人物を放置しておくこともできません。手厚い身分保障をいいことに憲法を無視するような裁判官の存在は、到底、国民の理解を得ることはできず、司法への信頼を揺るがすことにつながります。
最高裁の調査も甘過ぎます。本人が「やっていない」と言っているから、と鵜呑みにするのは、身内に甘いお手盛りの調査としか言いようがありません。最高裁は、厳正な調査と処分をうべきです。それでは次号で!