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【タックル法律講話】司法試験の受験者数が激減!
需要と供給のバランスが大きく崩れた今、合格者数の見直しが必要です。

2022/10/04

司法試験の受験者数が激減!
需要と供給のバランスが大きく崩れた今、合格者数の見直しが必要です。


弁護士はすでに「オワコン」?

先日、法務省は令和4年司法試験に1403人が合格したと発表しました。前年比18人減です。合格者数は右肩下がりで、旧司法試験から新試験に完全移行した平成24年以降で最少で、政府が27年に下方修正した目標「1500人以上」を3年連続で下回りました。受験者数も3082人で24年以降最少でした。原因は、法曹人気が低迷し、法科大学院の入学者数が減っていることにあります。このため合格率は45・5%と過去最高で、2人に1人は合格する簡単な試験となってしまいました。
私が受験していた30年前の旧司法試験時代の受験者数は2万5000人で、合格者はわずか500人。合格率2%の超難関の試験でしたから、隔世の感がありますね。今の試験では5割近い合格率であるにもかかわらず受験者数は激減しているのです。これは既に弁護士が「オワコン」、終わったコンテンツになってしまった証拠です。
法曹人口のほとんどが弁護士ですから、弁護士が毎年1000人以上増えています。その一方で民事訴訟の件数は激減しています。平成21年に23万5000件あった民事訴訟が、11年後の令和元年は13万5000件と半分近くまでに減少しています。パイが減っているのに弁護士の数は増えているわけですから、事件の奪い合いになっているのです。
こうした需要と供給のバランスが大きく崩れている中で弁護士を増やす必要はありません。このまま増やせば収入も減って魅力がなくなり、人気が低迷するのは当然です。弁護士の人気が高かったのは、社会的ステータスがあり、高収入だったことも大きな要因です。

質の低下と偏在問題

今は2人に1人は合格する簡単な試験となってしまいましたから、弁護士の質も明らかに低下しています。昔だったら合格者を輩出できていないような大学からも今はどんどん合格しています。依頼者としては質の高い弁護士にお願いしたいでしょうが、その質自体が保証されていません。そもそも司法試験合格にロースクールと旧試験という二つのルートがある自体がおかしなことなのです。
これ以上質が低い弁護士が増えれば、悪貨が良貨を駆逐するように最終的には国民にツケが回ることになります。国民にとって弁護士は法律への入口からナビゲーションしてくれて、時には代理や弁護をしてくれる心強い味方のはずです。それがとんでもないアドバイスをする質の低い弁護士が増えると、社会的インフラが損なわれることになります。
そもそも司法改革の日弁連の理念は、「全国津々浦々にリーガルサービスを提供する」というものでした。田舎や僻地などのいわゆる弁護士過疎地でも気軽に法律相談ができる司法を目指して、弁護士を増やしたのですが、結局、その8割が東京に集中しているわけですから、ますます偏在が進んでいます。ニーズや稼ぎがない所であえて開業する弁護士は少ないでしょう。全国にあまねくリーガルサービスを広げるのなら、やみくもに人数を増やすのではなく、無医村への医師派遣補助金制度のように僻地での開業を支援する制度が必要です。今の弁護士過疎地への支援「ひまわり基金法律事務所」だけでは不十分であり、これをもっと拡充する必要があります。また、裁判所の裁判官・書記官を増員して、個人の訴訟活動を裁判所がバックアップできるようにすることも必要でしょう。このように今の司法試験のあり方は、本来のあるべき姿から大きく乖離しています。早急に合格者数を減らし、制度の見直しをすべきですね。それでは次号で!