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【タックル法律講話】旧統一教会に「解散命令」?!
そもそも、税制優遇されているのならば お金の流れを公表させるべきです
2022/11/02
旧統一教会に「解散命令」?!
そもそも、税制優遇されているのならばお金の流れを公表させるべきです
ハードルが高い解散要件
政治との関係で問題視されている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、宗教法人法に基づく解散命令の請求をするよう、文部科学相や法相らに申し入れ書を提出しました。申し入れ書では、平成21年に家庭連合が「コンプライアンス宣言」をした後も、高額献金などの被害は発生していると指摘しています。この問題については国会でも議論されていますね。
宗教法人の解散事例はこれまで2例しかなく、殺人・テロなど凶悪事件を起こした「オウム真理教」と霊視商法で違法な献金を集めた「明覚寺」です。この2例は教祖や幹部が刑事事件で逮捕されています。文化庁の解釈は「刑事裁判で宗教法人本体の役員などの責任が認められないと解散要件には当てはまらない」としていますので、法的には今回の解散命令は難しいのではないでしょうか。
財務状況の公開を
もっとも、宗教法人を解散させたとしても、教団体としての活動は維持できますから、信教の自由の直接的な侵害には当たりません。宗教法人格がなくなると、税制上の優遇という特典が無くなります。
したがって、問題のある宗教法人については、税制優遇措置を無くすなどの法改正が必要だと思います。信教の自由と宗教法人としての特権が失われることは、切り分けて考えるべきでしょう。
旧統一教会のように刑事罰を受けてなくても一定数の民事訴訟を起こされた場合、税制上の優遇措置を段階的に減らすなどの法改正が必要です。解散するかしないかの二者択一の現行法では柔軟な対応ができないので、現実に即した規制は難しいと思います。
また、根本的な問題として、宗教法人のお金の流れが不透明な点があります。税制が優遇されているということは国民の税金の犠牲の上に成り立っているわけですから、不公平です。他の公益法人は透明化されていますから、税制上の優遇を受けるのならば財務諸表などの文書を公開すべきでしょう。信教の自由を楯にして宗教法人だけが特別扱いされてきたこと自体がおかしいのです。
財務状況を公開されて困るような宗教団体は、そもそも宗教法人法で守ってあげる必要はありません。中には反社会的勢力の資金源になったり、犯罪まがいの行為を働く宗教団体もあり、強引な献金や怪しい支出などを可視化すれば、不正なお金の流れや怪しい宗教による被害を防ぐことにつながります。旧統一教会の問題を機に、宗教法人法の見直しを議論すべきでしょう。それでは次号で!