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【タックル法律講話】裁判員になれる年齢が18歳からに引き下げ
果たして適切な判断ができるのか? 若者の「司法離れ」も深刻です。
2023/05/01
裁判員になれる年齢が18歳からに引き下げ
果たして適切な判断ができるのか?
若者の「司法離れ」も深刻です。
司法試験の受験者も激減
18歳、19歳を「特定少年」と位置づけて厳罰化を図った改正少年法が施行されてから4月で丸1年経ちました。これに伴って裁判員になることができる年齢も20歳以上から18歳以上に引き下げられ、今年からは18歳、19歳も裁判員に選ばれるようになりました。今後は、法律知識や社会常識に乏しい若者への司法教育が課題となり、様々な取り組みがはじまっています。
しかし、若者の「司法離れ」は深刻です。最高裁の調査によると、18、19歳で裁判員に「参加したい」と答えたのはわずか9.5%、「参加してもよい」は35.7%で、合わせても半数に満たないという結果でした。
裁判・法律というのは人生経験の積み重ねでもあります。例えば、色恋沙汰の傷害事件や飲酒による加害事故などは、恋愛経験も乏しく結婚したこともない若者や酒を飲んだこともない年齢の彼らには理解不能でしょう。人生経験が浅い若者に判断させること自体にリスクが伴います。
また、若者の「司法離れ」は司法試験の受験者数にも表れています。司法試験の受験者数は、新司法試験に一本化された平成24年は8387人でしたが、令和4年には3082人と、なんと半分以下に激減しているのです。昔は花形だった法学部の凋落ぶりが顕著ですね。
正義が全うされない司法では…
若者の「司法離れ」には、今や裁判官、検察官、弁護士などの法曹が若者の尊敬の対象ではなくなってしまったことが背景にあります。そもそも今の社会で「最後は正義が勝つ」ことがなくなってしまい、「やった者勝ち」「逃げ得」が横行しています。悪いことをした人がきちんと処罰を受けたり、賠償金を支払わされたりすれば、司法への信頼も回復すると思いますが、現実は程遠い状態です。
例えば、今海外に逃亡しているユーチューバーのガーシーや、損害賠償を支払わないホリエモンや「2ちゃんねる」の開設者であるひろゆきなど、出頭しなくても、支払わなくても平気でメディアに出ています。カルロス・ゴーンのように海外に逃げたまま平然としている人間もいます。また、最高裁が国政選挙の定数是正の違憲判決を何度出しても、国会は無視しているのですから、裁判所も舐められっぱなしです。
真面目に判決に従う人からすれば、「正直者が馬鹿を見る」のが今の司法です。かつて伊藤栄樹元検事総長は「検察は社会のどぶさらい」という名言を残しました。まさに、司法自体が「社会のどぶさらい」であり、このどぶさらいを真面目にやることに価値があったからこそ、「正義を実現し、よりよい社会にする」という理想に燃えた、優秀な若者たちが司法を目指していたのです。
ところが、今の司法はどうでしょうか?本来の司法の役割である「弱者を救済する、正義を実現する」という機能を回復させるしか、司法の信頼を取り戻す道はないと思います。そうなれば、また有為な若者たちが司法に関心を持ってくれると思います。それでは次号で!