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【タックル法律講話】紙の令状や訴訟資料の閲覧・謄写は現場にとって負担が重い?!
刑事手続のデジタル化は朗報ですが、偽造・流出の危険も・・・
2025/04/01
紙の令状や訴訟資料の閲覧・謄写は現場にとって負担が重い?!
刑事手続のデジタル化は朗報ですが、偽造・流出の危険も・・・
オンラインで令状の発付が可能に
先日、政府は逮捕状や家宅捜索に必要な令状請求のデジタル化を盛り込んだ刑事訴訟法などの改正案を閣議決定しました。デジタル化されることで、紙や対面を原則としていた刑事手続は大きな転換点を迎えることになります。今国会で成立すれば、令和9年3月までに施行されます。
今の制度では緊急性の高い事案や遠隔地での捜査でも令状請求をするためにいちいち裁判所に出向かなくてはならず、現場の捜査員には大きな負担でした。デジタル化が実現すれば、令状の発付と執行はいずれもオンラインで可能になり、移動時間を大幅に省略できます。通信記録などの照会も、捜査員が通信事業者の窓口に出向かなくても提供を受けられるようになります。
この改正は捜査機関にとっては大歓迎でしょう。令状請求を受けるために裁判所には24時間体制で当直の裁判官が詰めています。現行犯だと令状は不要ですが、例えば、覚せい剤使用の疑いの任意の事情聴取で強制採尿の令状を取る時には、捜査員はわざわざ裁判所まで足を運んで裁判官に資料を提出、令状が出るまで待って、急いで署に持って帰って令状を示し、ようやく強制採尿にこぎつけるのです。
あくまでも任意なので尿を採られまいとして帰ろうとする被疑者を、令状が届くまで何とかなだめすかして留めておかなければなりません。裁判所に近い署だったらまだいいのですが、遠い署だと大変です。こうした現場の苦労が解消されるわけです。
また、家宅捜査、いわゆるガサ入れの令状に関しても、紙の令状を待つことなくオンライン端末で提示すれば、証拠隠滅の隙を与えずに捜査が可能となるわけです。
偽造・流失・拡散の危険性も・・・
また、民事訴訟で先行している「ウェブ口頭弁論」も刑事訴訟にも拡大されます。けがなどを理由に被告人や証人が出廷できない場合、ビデオ会議による出廷が認められます。
さらに、事務手続の効率化のため、弁護人がオンラインで訴訟資料を閲覧・謄写できるようになります。現在は弁護人が訴訟資料を閲覧・謄写するのにわざわざ裁判所に行かなければなりませんが、その時間と手間が省けますので、弁護人にとっても朗報です。
ただし、デジタル化により、令状などの電子データが偽造される可能性もあることから、電子データに対する文書偽造罪なども創設されます。これにより、他人に成りすまして電子データを交流サイト(SNS)に投稿した場合、文書偽造罪を適用できる可能性もあります。
デジタル化で現場は大いに助かるのですが、その一方で偽造・流失・拡散の危険性もはらんでいますから、その対策を万全に準備して施行されるべきです。それでは次号で!