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【タックル法律講話】「18歳以下の選挙運動の禁止は憲法違反だ」と高校生が提訴!
古い公職選挙法の規定は現代にマッチしているのでしょうか?
2025/08/01
「18歳以下の選挙運動の禁止は憲法違反だ」と高校生が提訴!
古い公職選挙法の規定は現代にマッチしているのでしょうか?
4人の高校生が提訴
「未成年者の選挙運動を禁じる公職選挙法の規定は憲法21条が定める表現の自由に違反する」として、高校生4人が未成年者の選挙運動を認めるよう求めた訴訟を東京地方裁判所に起こし、5月に第1回口頭弁論が開かれました。
原告の高校生の一人は環境問題に関心を持つようになり、高校1年だった令和4年7月の参院選で、候補者に気候変動政策についての質問状を送り、その回答を交流サイト(SNS)へ投稿する企画の準備を進めていました。ところが、企画の実行委員から、候補者からの回答を未成年者がSNSへ投稿すると公職選挙法に違反する恐れがある、と指摘されて、ビックリ!
公職選挙法は「18歳未満は選挙運動をすることができない」と定め、大人が18歳未満を選挙運動に動員することを禁止。違反した場合は、1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、さらに、刑が確定した日から5年間、選挙権などの公民権が停止されます。
「選挙運動」とは、公示日、告示日から投票日の前日までに限り、特定の候補者を当選させるために有権者に働きかける行為を指します。ポスター掲示やビラ配り、選挙カーでの呼びかけはもちろんですが、SNSで候補者の投稿や動画に「いいね」をしたり、シェアしたりすることも選挙運動とみなされる可能性があります。
原告の高校生らは、「これでは若者が政治に関わることを躊躇させてしまう恐れがある」と主張しています。
公職選挙法はもはや過去のもの?
未成年者の選挙運動を禁じる規定は昭和27年の公職選挙法の改正で盛り込まれました。未成年者を大量に動員し、候補者の名前を連呼させる選挙運動を阻止することなどが目的だったとされます。心身が未成熟な未成年者を偏った政治思想や政治的な悪い影響から保護するという思想が背景にあると言われています。
果たして、この古い公職選挙法の考え方が現代にマッチしているのでしょうか?
今回の訴訟において、国側は棄却を求める答弁書を提出しました。第2回口頭弁論は8月29日に開かれる予定です。
若者の政治参加を促そうと選挙権は18歳に引き下げられましたが、果たして、18歳以下は選挙運動を禁じられているという公職選挙法の規定について、裁判所がどういう判断を下すのか、注目されます。それでは次号で!