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「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」産経ニュースコラム9月28日(木)掲載されました。
2017/09/28
9月28日(木)、産経ニュースにコラム「熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断」
「解散『批判』のご都合主義」が掲載されました。
ご一読いただけると幸甚です。
「解散「批判」のご都合主義」
安倍晋三首相が衆議院解散・総選挙の意向を表明した。
首相は、消費税の使い道の変更や暴走する北朝鮮に対する取り組みについて国民の信を問う「国難突破解散」と名付けた。
これに対して、野党やメディアは、「なぜ今、解散なのか?」「大義がない」の大合唱。
あげくの果てには、「解散権の濫用(らんよう)は憲法違反だ!」などと言い出す始末である。
しかし、日本は、今まさに北朝鮮による安全保障上の危機に直面しており、米国がいつ軍事行動をとるのか予断を許さない状況である。ひとたび事が起きてしまえば東アジアは戦禍に巻き込まれ、解散・総選挙どころではない。「なぜ今?」ではなく、「今しかない」との決断であろう。
また、「大義がない」との批判も的外れである。大義があるかないかは有権者たる国民が判断することである。野党やメディアの仕事は、有権者が適切な判断ができるように、具体的政策を提示したり、客観的な事実を報道したりするなど、国民にその判断材料を提供することである。
さらに、「憲法違反」まで持ち出すことには極めて強い違和感を覚える。今回の解散は内閣不信任決議等の場面を定めた憲法69条による解散ではなく、憲法7条(天皇の国事行為)に基づく解散である。憲法7条は「天皇は内閣の助言と承認により、国民のために左の国事に関する行為を行う」「(1)憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること、(2)国会を召集すること、(3)衆議院を解散すること」と定めている。この規定は、天皇は「日本国の象徴」であり政治的意思決定には関与しないことから、「衆議院の解散」を決定することはできず、内閣が実質的に解散を決定し、天皇は形式的・儀式的に解散を行うのみと理解されている。従って、第7条の「内閣の助言と承認」という文言の中に、衆議院の解散に関する内閣の実質的決定権が含まれていると解釈されているのである。
この解散権について「濫用は憲法違反だ!」との批判もあたらない。既に昭和35年の最高裁判決によって「衆議院の解散は高度に政治性を有する統治行為であり、違法の審査は裁判所の権限の外にある」との判例が確立しており、解散の違憲性を訴訟で争うことはできない。
このように憲法7条を根拠に解散権を広く認めるのが現在の通説であり、過去にも多くの内閣において憲法7条に基づく解散がなされてきた。平成24年、当時の民主党・野田内閣による解散も憲法7条解散である。解散・総選挙は、主権者たる国民が権利行使できる絶好の機会であるにもかかわらず、日頃から「民意!民意!」と叫ぶ野党やメディアが、今さら「憲法違反」を持ち出して民意反映の機会を奪うことは「ご都合主義」と言わざるを得ない。
野党やメディアの一連の解散批判や報道を見るにつけ、有権者たる国民は、何となく馬鹿にされているような気になるのではなかろうか?解散の是非は有権者たる国民自身が判断するものであって、野党の仕事は、批判のための批判ではなく、具体的政策や対案を国民に提示することである。また、メディアは、日本を取り巻く国際情勢や事実を正確に伝え、国民の知る権利に資する報道をしなくてはならない。
私たちは、野党やメディアの印象操作やレッテル貼りに惑わされず、「国難」の今、誰に政権を託すべきかをしっかりと見極めなくてはならない。
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