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【タックル法律講話】暴力団が被災者に現金を配って回る? 十五兆円の巨大利権をめぐる攻防が始まった!

2011/06/25

暴力団が被災者に現金を配って回る?
十五兆円の巨大利権をめぐる攻防が始まった!

三万円の茶封筒

五月十三日付の産経新聞に、「復興利権に暴力団の影 被災者に三万円入り茶封筒も」という見出しで、以下の記事が掲載されました(概要)。
四月二十三日、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の避難所に、「西日本小売業協会」「西日本有志の会」と名乗るコワモテ(?)の集団が現れ、現金三万円入りの茶封筒を被災者に配って回った。また、南三陸町でも同じく現金入り封筒を配って回る集団があった。現金の総額は合わせて三千万円から五千万円!正体不明のその集団は、市の関係者が「個人に配るのではなく、義援金として扱わせて欲しい」と求めたのにも耳を貸さず、次々に現金を配って回った。
警察の調べでは、その集団は、暴力団山口組の関係者!警察は「被災地では復旧・復興事業に伴うがれきの除去や建物建設、道路工事などが長年続く。被災者に金を配ることで存在感を発揮し、事業に食い込もうとしているのだろう。最初に仁義に厚いところをみせて、徐々に利権に浸透していくのは暴力団の典型的な手口だ」と分析する。また、ゴミ処理施設や埋立地などの情報を収集し、需要の高まりが予想されるクレーンや重機の買い占めも始まった。
過去の震災でも復興事業が暴力団の資金源となってきた。警察は「がれきの山は暴力団には宝の山。至る所に金脈が眠っている」と話す。総額十五兆円とも言われる震災事業。警察庁は、全国の警察に復興事業に暴力団を一切入り込ませないよう、業界と協力して動向を注視するよう指示した(以上、記事の概要)。

莫大なマンパワーが必要

さて、皆さん、いかがでしょうか?
利権のあるところに暴力団が入り込んでくるのは当然です。しかし、昨今の暴力団排除・資金源封殺の風潮からすれば、警察としては、何としても、暴力団の介入を阻止したいところです。
ただ一方では、被災地の復旧事業は急務であり、莫大なマンパワーが必要です。行政や発注者としては、少しでも「早く、安く、大量に」処理する能力を持つ業者に依頼したいと思っています。特に、近年は、暴力団に関係するのか、普通の業者なのかを判断することが難しくなっており、少しでも怪しい業者は一切介入させないとなると、果たして、マンパワーを結集できるのか?復興事業の停滞にもつながりかねない、という声も出ています。
「暴力団や反社会的勢力を介入させるな!」というお題目自体は正しいとは思いますが、果たして、現実に、政府や業界が、彼らに代わる有効なシステムを打ち出しているのか?ということも真剣に考えなくてはなりません。結局、ツケは、復興が遅れる被災者に回ってくるのですから…。それでは、次号で!


ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2011年6月号