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【タックル法律講話】最高裁が「敷引き特約は有効!」と判断。 「契約書にサインする」という行為を甘く見てはいけません。
2011/09/02
最高裁が「敷引き特約は有効!」と判断。
「契約書にサインする」という行為を甘く見てはいけません。
契約書をよく読め
先日、賃貸マンションの退去時に大家が敷金を返す際に一定金額を差し引くと定めた特約(敷引き特約)が有効か否か争われた裁判で、最高裁は、「敷引き特約は有効」とする判断を示しました。
この裁判は、借主がマンションを退去する際、敷金百万円の中から、敷引き特約に基づく六十万円と補修費用二十万円が差し引かれたため、借主が大家に百万円全額の返還を求めて争っていたものです。
この種の裁判は、これまでは「敷引き特約は借主(消費者)保護に反する」として、裁判でも大家側がことごとく負けていました。実際、クロス張り替えなど本来は大家が負担するべき費用も借主(消費者)が負担していたケースが多く、今までの裁判では、「大家には、実際の補修費用よりも多く取る権利はなく、借主(消費者)の利益に反する」として、敷引き特約は無効とされることが多かったのです。
しかし、今回、最高裁は、基本的に「契約書に明記してあり、それにサイン、押印しているのだから、今さら無効だ、などと言うのはちょっと虫が良すぎるのではないか?」というスタンスで、「そこまで借主(消費者)を保護する必要はないだろう」と判断したものと言えます。
この最高裁の判決は、今まで負け続けてきた大家側・不動産業界にとっては、溜飲の下がるものとなったことでしょう。
子供の頃から教育を
たしかに、悪質な大家・不動産屋が、借主(消費者)の無知につけこんで法外な金額を負担させたような場合は、消費者保護という観点も大切だとは思います。
しかし、あまりにも消費者保護を強調しすぎると、契約社会が成り立ちません。すなわち、「約束したことは守る」ということが我々の社会が成り立つ大前提のはずです。
契約書にサインする前には、しっかりと契約書の字を読むべきであり、後になって「よく読んでなかった。そんなつもりはなかった。」などということが通用するようでは、契約書の意味がありません。敷引き特約が不満であれば、契約をやめて、別のところと契約すればいいだけの話です。
日本では、大の大人が契約書にサインしておきながら、後になって「そんなつもりはなかった」と言って裁判を起こすことが多いのですが、契約書やサインの重要性がしっかりと理解されていないのではないか?と思います。
本当は、小学校や中学校でそういう大事なことを教えないといけないのに、全く教育がなされていないので、うっかりサインして騙される人が多い反面,サインしたにもかかわらず契約書を軽視する人も多いのです。
そのために無用な裁判が起こされていることを考えると、国家的な損失(?)かも知れません。簡単な法律知識ぐらいは、子供の頃からきちんと教育しておくべきだと思います。そのことが、個人の権利を守ることにもつながるはずです。
それでは、次号で!
ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2011年9月