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【タックル法律講話】アメリカが日本のヤクザに経済制裁! なぜ、日本政府は何もしないのか? 税制の強化が必要です。

2012/04/02

アメリカが日本のヤクザに経済制裁!

なぜ、日本政府は何もしないのか?
税制の強化が必要です。


巨大化する地下経済

 アメリカ財務省は二月二十三日、「国境を越える犯罪組織」として日本の指定暴力団山口組に対して、アメリカ国内の資産凍結やアメリカ国民との取引を禁ずる制裁を科す、と発表しました。アメリカ財務省は、山口組について「最も大きく、最も有名な『ヤクザ』」と位置づけ、「日本国内外で麻薬密売や人身売買、恐喝や売春、詐欺やマネーロンダリング(資金洗浄)などの犯罪行為に関与し、年間数十億ドルを稼いでいる」と指摘し、組長の篠田建市(通称・司忍)とナンバー2の高山清司の二人を制裁の対象としました。
 これはかなり厳しい措置で、暴力団の資金源封殺には有効だとは思いますが、一方で、アメリカ国内の資産をどの程度把握しているのか?という問題があります。フロント企業、ダミー会社、名義貸しといった表向きは暴力団と繋がりが見えないグレーゾーンも多く、なかなか実体は分かりません。
 このような「表で把握できない」というマフィア的構造は日本のヤクザに限らず、いわゆる「地下経済」「アングラマネー」は世界中にはりめぐらされています。「地下経済」「アングラマネー」が大きくなればなるほど、「金の流れが把握できないから、当然、税金も徴収できない」という問題が起こります。今回のアメリカの措置もこういった金の流れがあまりにも大き過ぎるということからだと思います。

暴力団対策は、課税の強化から

 暴力団や反社会的勢力は、まっとうな税務申告などしませんし、税金を払っていませんから、彼らがお金をたくさん持っているのは当然です。表では把握できないお金の流れを意図的に作り出しているのですから。
 ですから、彼らの資金源を封殺するには、税金をしっかり取ることが大切なのです。アメリカのギャングのアル・カポネが逮捕されたのも「脱税」がきっかけでした。
 海外では、マフィアなどの反社会的存在に対しては、税務署に強力な捜査権限を与え、「適法に得た資産であることを証明できなければ、課税・没収する」としている国もあります。要するに、「まともに稼いだお金であることを証明しなさい。証明できなければ取り上げます」ということです。
 残念ながら、日本の税務署は暴力団には弱腰で、ほとんど課税できていません。真面目に働いている人、取りやすい人からはどんどん取ります。
 国や政治家も、「暴力団壊滅!」などと声高に叫ぶのであれば、まず、税法を改正して、暴力団や反社会的勢力からもしっかりと税金をとれる制度を作らなければなりません。正直者が馬鹿を見るような不公平な税制では誰も税金を納めなくなってしまいますよね。それでは、次号で!


ビジネス情報誌「フォーNET」掲載:2012年4月号